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「天稟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天稟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
て取り返しのつかない死出の旅をしないでいてくれ。もし彼に独自の道を切り開いて行く天稟がないのなら、どうか正直な勤勉な凡人として一生を終わってくれ。もうこの苦しみ....
食魔」より 著者:岡本かの子
亭・俵やをはじめ市中の名料理へ飲食に連れて行った。彼は美食に事欠かぬのみならず、天稟から、料理の秘奥を感取った。 そうしているうち、ふと鼈四郎に気が付いて来た....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
も虚妄を構成するに適わしい記述があるからなんだ。勿論、僕が求めているのは、犯人の天稟学だったのさ。あの中にある風精の印象を一つに集めて、それに観照の姿を浮ばしめ....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
めよと叫び涙を流した。 政秀の諫死によって信長大いに行状を改めたが同時に、その天稟の武威を振い出した。 十六歳の時から桶狭間合戦の二十七歳までは席の安まる間....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
において認識なるものに対して驚異の目を見張らざるを得ない。認識能力が人間の無上の天稟であり、めでたき宝であることを思い、認識が人生において占有する地位の厳粛なる....
死者の書」より 著者:折口信夫
上たる人の考えをすら、否みとおす事もある姥たちであった。 其老女たちすら、郎女の天稟には、舌を捲きはじめて居た。 もう、自身たちの教えることものうなった。 こう....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
杉子は何気なく笑った。 「だけどいい声だ」 「だれ、ああママさん? 声のいいのは天稟ね。モーツァルトかジプシーソングか」 男は黙っている。 「門外漢だから云え....
置土産」より 著者:国木田独歩
合に相談相手とするほどの友だちもなく、打ちまけて置座会議に上して見るほどの気軽の天稟にもあらず、いろいろ独りで考えた末が日ごろ何かに付けて親切に言うてくれるお絹....
河霧」より 著者:国木田独歩
た奇妙にあたる。むずかしく言えば一種霊活な批評眼を備えていた人、ありていに言えば天稟の直覚力が鋭利である上に、郷党が不思議がればいよいよ自分もよけいに人の気質、....
わかれ」より 著者:国木田独歩
一|生の事業となさんものと志しぬ、家は富み、年は若し。この望みはかれが不屈の性と天稟の才とをもってしては達し難きものにあらず。かれはこれを自信せり。一年の独居は....
砂書きの老人」より 著者:上村松園
造作に描きわけてゆく。 どのように練習しても、ああはうまくかけるものではない。天稟の技というのはああいうのをさして言うのであろう。またそれは、あの貧しい老爺だ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
のうちで類例を求むれば、やはりドオデエに似寄ったところがあったのではなかろうか。天稟の美しい情緒を花袋はもっている。それを禅に参ずる居士が懐くような自負心で掩う....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
して且つ賢きこと童子の如きもの、果して有るを得るか。 アントオニオ 誰か能く彼の天稟に参通し得る者ぞ。 バチスタ 誰かよく彼の知識の前に悚然たらざるを得るか。 ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
生には無駄がなく、随って有意義に一生を使い得ると思います。 しかし、何が自分の天稟に備わっているのか、何が他人にくらべて自分の特長であるか、それは、なかなかた....
鮎を食う」より 著者:北大路魯山人
わないでよい。醤油をつけて照り焼きなどにすれば、醤油の香りや味醂に邪魔され、その天稟の香気は、たちまち滅してしまう。また、そのはらわたを抜いてしまったのでは、鮎....