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「天領〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天領の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二人の友」より 著者:森鴎外
、私は津和野《つわの》に生れたから亀井《かめい》家領内の人、君は所謂《いわゆる》天領の人である。早くからドイツ語を専修しようと思い立って、東京へ出た。所々の学校....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
行所さえその通りですから、まして諸国の代官所……それは諸国にある徳川の領地、俗に天領というところを支配しているので、その土地の出来事は皆この代官所で裁判すること....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
半蔵、御通行はあと十二、三日ぐらいしかあるまい。人足は足りるかい。」 「今度は旧天領のものが奮って助郷を勤めることになりました。これは天領にかぎらないからと言っ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
地主とすれば、彼等は神の小作人である。主宰を神とすれば、彼等は神の直轄の下に住む天領の民である。綱島梁川君の所謂「神と共に働き、神と共に楽む」事を文義通り実行す....
白くれない」より 著者:夢野久作
、昼|寝ね、夜起きて、抜けつ潜りつ日を重ね行くうちに、いつしか思ひの外なる日田の天領に紛れ入りしかば、よき序なれと英彦山に紛れ入り、六十六部に身を扮装して直江志....
名娼満月」より 著者:夢野久作
六は最早長崎に居なかった。仲間の抜荷買連中と共に逸早く旅支度をして豊後国、日田の天領に入込み、人の余り知らない山奥の川底という温泉に涵っていた。 千六はそれか....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
うという計画なのだ。甲府の城は名だたる要害の城で、徳川家でも怖れて大名に与えずに天領としておくところだ、それを乗取れば関東の咽喉首《のどくび》を抑えたということ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
下の勢《せい》を引受けてみるも一興ではないか」 「左様な要害なればこそ、この国が天領であって、柳沢甲斐守以外には封《ほう》を受けたものが一人も無い。まんいち江戸....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
家康の農民政策であったと、今日まで伝えられているのだ。 毎年の秋、幕府直轄の「天領」を支配する代官が、その任地に帰ろうとする時、家康はこれらを面前に呼びつけて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ぎるほどわからなければならぬ。そのお代官も、公儀お代官なのである。徳川幕府直轄の天領お代官ということになる。 してみれば、二人が打揃って、おとなしく「貰い下げ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
友の米友たる所以《ゆえん》を知らず、いやに気の強い子供だと軽くあしらって、 「御天領から御検地のお代官がいらっしゃるのだ、間違いのないように引込んでいな」 そ....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
でございますね、尤も海岸は広うござんすから、確とお請合は出来ませぬが、まア此辺は天領でござんしてな、存外御政治も行届いて居りやすから、そんな事アありそうもござん....
狂歌師赤猪口兵衛」より 著者:夢野久作
なあ。お目付の松倉さんから聞いた話を受売りするとなあ……豊後の日田という処は元来天領で、徳川様の直轄の御領分じゃ。何にせい筑紫次郎という筑後川の水上に在る山奥の....
落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
めて、二尺に三尺の大きな二つの荷に造って、これを天ビン棒で、かついで、城下町や、天領の新潟港や、近在の賑やかなところへ売りに行く。 彼は花サカ爺イのような赤い....
雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
みどおり、世間から、ちょっと騒がれたが、生命は短く、やがて誰も彼も、宿場役人や、天領の十手にかかって、一人残らず、ふん縛られてしまった。 雲霧、時に、まだ二十....