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「失念〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

失念の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蘭学事始」より 著者:菊池寛
救われたような明るい気持になった。 「おお前野氏がいる! 前野氏のことを、とんと失念いたしていた。前野氏へは、是非一報いたさいで叶わぬことじゃ」 玄適が、すぐ....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
た。ところが、その女は連夜の酒宴に疲れはてたのだろう。主君の御前ということもつい失念してしまったと見え、その二重瞼の美しい目を半眼に閉じながら、うつらうつらと仮....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
。唯ゾッとする許りである。 第五十五回 暗《やみ》の中の一物 余が何よりの失念は蝋燭を買い調えて来なんだ一事で有る。此の様な時に燐燧の明かりほど便りない者....
朱日記」より 著者:泉鏡花
く見えるくらい、老実な語。 「加減をして、うめて進ぜまする。その貴方様、水をフト失念いたしましたから、精々と汲込んでおりまするが、何か、別して三右衛門にお使でも....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
るだろう」と窃に思待つうちに、漸く目科の話が終れば果せるかな細君は第一に「貴方は失念た事を仕ましたね」と云う、目科は宛も今までの経験にて細君の意見の侮り難きを知....
地獄の使者」より 著者:海野十三
ているところが記録してあります。ただ、そのことをちょっと検事さんにお話することを失念していました。どうか一つ……」 警部は軽く頭を下げた。検事は苦がい顔になっ....
風博士」より 著者:坂口安吾
さんでいたからである。つまり偉大なる博士は深く結婚式を期待し、同時に深く結婚式を失念したに相違ない色々の条件を明示していた。 「POPOPO!」 偉大なる博士....
両面競牡丹」より 著者:酒井嘉七
りましたとき、思いついたのでございますが、御隠居さまの御用を承わって来ることを、失念いたしていたのでございます。 (これは、大変なことを、御隠居さまとても、お土....
ドイルを宗とす」より 著者:甲賀三郎
は佐川春水氏が「銀行盗賊」と改題して訳述した「赤髪組合」か、それでなければ訳者を失念したが、太陽か又は太陽と同型の雑誌に発表された「青い宝石」で、どっちが先だっ....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
誰も居ない※ 洞穴の中は虚だ※ ただ一人杉田の亡骸のみが残っている。 「失念った※」 と叫んで暫時我を忘れて茫然としたが、たちまち気を取り直して、側に放....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
在かな? 瓜生ノ衛門 (何やらはたと思いついて)文麻呂殿! 瓜生ノ衛門、すっかり失念致しておりました! 実は手前、大変な噂の証拠をつきとめたのでございます。大納....
怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
「なんでござったかな、敵討なんどと、左様な大事件をお引受け致したか知らん」 「御失念では痛み入る。それ、武州は府中、六所明神暗闇祭の夜、我等の仲間が大恥辱を取っ....
奉行と人相学」より 著者:菊池寛
間のさばきには、どうしても間違いがある。長吉の名前に、朱筆がないのは、将軍家の御失念かも知れないが、やはり人間のあやまちを正す天意かも知れないと思う。わしは、も....
妖怪学」より 著者:井上円了
むるに当たり、毎朝醒覚の後、その記憶せしところのものを集めんとせしも、十中八九は失念して再現すること難きを知りたれば、毎夜筆紙を枕頭に置き、わずかに醒覚すること....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
時記憶に失して自ら識覚せざることの、不覚筋動となりて現ずることあり。例えば、一時失念したることの夢中に現じ寝言に発することあるも、自らそのいかにして発現するを識....