失神[語句情報] » 失神

「失神〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

失神の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
、口の中にためながら、ささやくようにこう言うと、それなり恍惚《こうこつ》とした、失神の底に、――おそらくは、さめる時のない眠りの底に、昏々《こんこん》として沈ん....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ま、身動きをする気色《けしき》も見えなかった。…… 何時間か過ぎた後《のち》、失神した彼はおもむろに、砂の上から起き上った。彼の前には静な湖が、油のように開い....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
》を感じたと云う事よりほかに、全く何もございません。私はそのまま、そこに倒れて、失神してしまったのでございます。その物音に驚いて、妻が茶の間から駈けつけて来た時....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
これは常子の話ではない。彼女は夫の飛び上るのを見たぎり、長椅子《ながいす》の上に失神してしまった。しかし社宅の支那人のボオイはこう同じ記者に話している。――半三....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
頬に落すと、そのまま眼をとざしてしまいました。それが看護をしていた三人には、また失神したとでも思われたのでしょう。急に皆そわそわ立ち騒ぐようなけはいがし出しまし....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
。夜のあけあけに大捜索が行われた。娘は河添《かわぞい》の窪地《くぼち》の林の中に失神して倒れていた。正気づいてから聞きただすと、大きな男が無理やりに娘をそこに連....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
の死ということだけは判ったけれど、何が何やら更に判らぬ。僕とて民子の死と聞いて、失神するほどの思いであれど、今目の前で母の嘆きの一通りならぬを見ては、泣くにも泣....
火星兵団」より 著者:海野十三
うに笑っているようなひびきをもっていた。 千二は、おどろきのあまり、さっきから失神したまま、丸木の手にかかえられていた。 丸木は、つかつかと先生のたおれてい....
不周山」より 著者:井上紅梅
小さいものになり、あちらに爬いこちらに爬い、地面一杯になった。 彼女はほとんど失神せんばかりになっていっそう激しく廻していたが、腰や腿が痛むばかりではなく、二....
」より 著者:犬田卯
からおせきに捺印させた。やがて調査の一行はどやどやと門口を出て行ったが、おせきは失神したように、軒下に突っ立っていた。 「おっ母さん、いまのあれ違っていべえな。....
青蛙神」より 著者:岡本綺堂
に判ります。さあ、早く……。早く行ってください。 (高田は急いで引立つれば、李は失神したようにふらふらと立上る。) 高田 阿母さんはどこにいるんです。 (李は答....
山椒魚」より 著者:岡本綺堂
人揃ってあんなことになってしまったものですから、生き残った服部というのは、まるで失神したように唯ぼんやりしているばかりで、なにを訊いても要領を得ないには警察の方....
革命の研究」より 著者:大杉栄
っくり返された時。いっさいの善悪の情熱が自由に爆発して真昼間にさらけ出された時。失神のそばに非常な熱誠を見、臆病のそばに勇敢を見、つまらぬ反感や個人的陰謀のそば....
むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
ひらひらと舞いながら散ってまいりました。 男は両手に顔を埋めて、長い間、まるで失神したように、身動きもせず、石のようにかたくなっていましたが、自分も女の後を追....
深夜の客」より 著者:大倉燁子
たと見えて、警官が来た頃には姿は見えませんでした。血の海の中に彼は一人ぽかんと、失神したように短刀を握っていたのです」 「短刀を渡したのはその親友ではなかったの....