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「奇体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奇体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妖婆」より 著者:芥川竜之介
んせい》した鉢植なんだ。ところがあの雨の日に咲いた瑠璃色《るりいろ》の花だけは、奇体に今日まで凋《しぼ》まないんだよ。お敏さんは何でもこの花が咲いている限り、き....
私の父と母」より 著者:有島武郎
うと思う。 母についても一つ言うべきは、想像力とも思われるものが非常に豊かで、奇体にないことをあるように考える癖がある。たとえば人の噂《うわさ》などをする場合....
星座」より 著者:有島武郎
。計算に間違はなかったけれども、項式はもう発展できないように横道に来ていた。 「奇体だなあ」 彼は思わず鉛筆を心もち紙の表面からもち上げて、自分に対して必死の....
放浪」より 著者:織田作之助
かし、順平をわざわざ継子扱いにはしなかったのだ。そんな暇もないといった顔だった。奇体《けったい》な子供だと思っても、深く心に止めなかった。商売病、冠婚葬祭や町内....
後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
す。明治十六年に初めて札幌から山男になって東京に出てきました。その時分に東京には奇体《きたい》な現象があって、それを名づけてリバイバルというたのです。その時分私....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ているのではございません。私が永い間流し続けてきた涙は、いつか知らず、このような奇体な修練を覚えさせてくれたのです。貴方の本当のお顔を、この幹の中ではじめて見た....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
断しないとみると、奥へ通して腕ずくで脅迫したりしていたんですが、人間というものは奇体なもので、いくら悪党でも同じ手段をくりかえしていると、自然に飽きて来るとみえ....
蠅男」より 著者:海野十三
え」 「へえ、あの蠅、蠅男! あの殺人魔の蠅男だっか。ああそういわれると、どうも奇体な風体をしとったな。気がつかんでもなかったんやけれど、まさかそれが蠅男だとは....
地球盗難」より 著者:海野十三
っていってくれというのじゃ。それからわし等は、また三つの籠を担ぎあげた。ところが奇体なことに、二つの籠は軽くて中が空っぽだと分ったが、もう一つの籠はズッシリと重....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
とに対照してみると、そこに驚くべき一致が現われていたのである。幾度か推定の中で、奇体な明滅を繰り返しながらも、得態の知れない水を踏んで現われた人形の存在は、こう....
黒百合」より 著者:泉鏡花
勢暗々として中空を籠めて、星の色も物凄い。 「おや、おや、おかしいねえ、変だよ、奇体なことがあるものだよ。露か知らん、上の枝から雫が落ちたそうで、指が冷りとした....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
か」 検事は更に語を続ける。 「それから、謎はもう一つある。と云うのが、提灯の奇体な出没さ。十時に柳江が見てなかったものが、十時半には灯が入って下っていた。ま....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
士の死因に就いて、驚くべき説を云い出したのである。 「推摩居士は、御自分で美しい奇体な墓場をお作りになって、その中で、仮死の状態に入られたのではないかと思います....
三枚続」より 著者:泉鏡花
からざる、たとえば竜のごとき否、むしろ大雨に就いて竜を黙想しつつありしがごとき、奇体なる人物は、渾名を外道と称えて、名誉の順風耳、金之助と同一新聞社の探訪員で、....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
」 と伊作は、少し身体を退けて、太郎右衛門にも見せました。 「ははあ! これあ、奇体な話でねいか!」 と太郎右衛門は叫びました。今三人の前に生れてから三月ばかり....