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奇麗
「奇麗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奇麗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
額の二千円はばたばたとなくなってしまった。そして貯金通帳から、最後の五十銭までが
奇麗に払い出されると、間もなく細君の寿命も、天国に回収されてしまった。彼はまった....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
」 と、お照は僕を呼びとめた。 振りかえって見ると、いつの間にか僕の万年床が
奇麗に片づいていて、畳の上がひろびろとしていた。僕はなぜかこのとき、昨夜十銭|洋....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
氏の邸の方へ出向きました。細田氏の宏壮な構の前には広い空地があって其の中を一本の
奇麗な道が三十間程続いてその向うに小ぢんまりとした借家が両側に立ち並んでいました....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
た屋根の亜鉛板を踏んで、美術書の陳んでいた辺へ行くと、一列のフォリオ形の美術書が
奇麗に頭を揃えて建てたなりに、丁度一本の棟木のように真黒けにソックリ其儘原形を残....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
……。それは現世の旅姿そのまま、言わばその写しでございます。かねて竜宮界は世にも
奇麗な、華美なところと伺って居りますので、私もそのつもりになり、白衣の上に、私の....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、器械の入用の節は、器械室なり実験室なりから、これを講堂に持ちはこび、用が済めば
奇麗にして元の所に戻して置くこと。修理を要するような場合には、幹事に報告し、かつ....
「作画について」より 著者:上村松園
ひ譲ってほしいと言って来ましたので、私は念のために鶯の糞で顔の汚れをふきましたら
奇麗にとれたので、それを譲りましたが、犯人はそれきり判らずじまいでした。 ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
い負け嫌いの天狗同志だから衝突するのは無理はない。京伝だったら北斎に花を持たして
奇麗に負けてやったろう。 が、馬琴には
奇麗サッパリと譲ってやる襟度が欠けていた....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
繻珍の帯をしめておりましたが、繻珍の帯が光ったのか、一人の狂女が走りよって、 「
奇麗な帯しめてはる」 と、手を触れて見ておりました。一室には、もと、相当なお店....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
た。 ここの富豪の婦人の部屋などもみせてもらった。朱の色の梯子、欄干があるなど
奇麗なものだった。二階の床は木を用いているが、階下の部屋は石だたみで、冬は火の気....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
議な出来事が続け様で、発端は五月頃、庭へ五六輪、菖蒲が咲ていたそうでその花を一朝
奇麗にもぎって、戸棚の夜着の中に入れてあった。初めは何か子供の悪戯だろうくらいに....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
いお膳を平気で喰べていた。シカモ鰍の味噌煮というような下宿屋料理を小言|云い云い
奇麗に平らげた。が、率ざ何処かへ何か食べに行こうとなるとなかなか厳ましい事をいっ....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
た時にダネ。人間てものは誰でも誤って邪路に踏迷う事があるが、心から悔悛めれば罪は
奇麗に拭い去られると懇々説諭して、俺はお前に顔へ泥を塗られたからって一端の過失の....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ていた。シカモ余り広くはなかったが、木口を選んだシッカリした普請で、家財道具も小
奇麗に整然と行届いていた。親子三人ぎりの家族で、誰が目にも窮しているどころか、む....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
、天気が悪かろうが、鈎おろさずに帰るということは出来ないさ。聴けば聴く程感心な、
奇麗な釣だね。』 釣り場は、僅数町の上流なるにぞ、間も無く漕ぎ着きぬ。漁史は、....