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奈良漬
「奈良漬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奈良漬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
れ、大気の中にまでほのぼのとした匂いを漂わしていた。 私たちは奥座敷といっても
奈良漬色の畳にがたがた障子の嵌《はま》っている部屋で永い間とろろ汁が出来るのを待....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
蔦も勢に連れて蹌踉起きて出て、自慢の番茶の焙じ加減で、三人睦くお取膳。 お妙が
奈良漬にほうとなった、顔がほてると洗ったので、小芳が刷毛を持って、颯とお化粧を直....
「思い出の記」より 著者:小泉節子
聞かせました。どなたが送って下さいましたか『ホトトギス』を毎号頂いて居りました。
奈良漬の事をよく『由良』と申しました。これは二十四年の旅の時、由良で喰べた
奈良漬....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
かいました。弁当は菱屋で拵えてくれたもので、山女の塩辛く煮たのと、玉子焼と蓮根と
奈良漬の胡瓜とを菜にして、腹のすいているわたしは、折詰の飯をひと粒も残さずに食っ....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
出た火で焼き捨ててくれるわ。どぶ酒に酔いしれたような、うぬが顔の色を、青丹よし、
奈良漬けの香も嗅げぬ若草色に蒼ざめてくれるわ!」 相も変らぬ駄洒落を飛ばして、....
「臨終まで」より 著者:梶井久
、これも二日とは続けられません。それで今度はお前から注文しなさいと言えば、西瓜の
奈良漬だとか、酢ぐきだとか、不消化なものばかり好んで、六ヶしうお粥をたべさせて貰....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
さな盃の五分の一も甜めると、爪の先まで真っ赤になって、胸は早鐘のように動悸うつ。
奈良漬けを五切れ六切れ食べてもやはりおなじようになる。サイダーですらも、コップに....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
、跫音は――お澄が来た。「何もございませんけれど、」と、いや、それどころか、瓜の
奈良漬。「山家ですわね。」と胡桃の砂糖煮。台十能に火を持って来たのを、ここの火鉢....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
気を吸うている国民は皆知らぬ間にある程度の技術を知っているともいえる。 巴里は
奈良漬の樽のようなもので、あの中へ日本人をしばらく漬けておくとどんな下手でも相当....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
た。 「御免なせえ……お香のものと、媽々衆が気前を見せましたが、取っておきのこの
奈良漬、こいつあ水ぽくてちと中でがす。菜ッ葉が食えますよ。長蕪てッて、ここら一体....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
たんだ、何だかこれを一つ食って見よう……婆さん灯火を早く此処へ持って来て……何だ
奈良漬の香物か、これは妙だ、
奈良漬の焼魚代りは不思議、ずーッと並べたのは好いな」....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
へちょこんと腰かけてお箸で食べているとなりでシャケで御飯たべて、「アラ百合ちゃん
奈良漬がすきだったわね、一寸きってさし上げて」「アノー、もうみんなになって居るん....
「神棚」より 著者:豊島与志雄
「お酒なら、少しくらいは家にありますよ。それに、何もないけれど、※《するめ》に
奈良漬くらいでよかったら……。」 「それだけありゃあ沢山。じゃあまた酒が切れたら....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
の Conomon すなわちコノモンは香ノ物であるが、これは命名者ツューンベリが
奈良漬けを香ノ物と思ってそう書いたものだ。今この学名は Cucumis Melo....
「西瓜」より 著者:永井荷風
め、漬物にしても白瓜《しろうり》はたべるが、胡瓜《きゅうり》は口にしない。西瓜は
奈良漬《ならづけ》にした鶏卵《たまご》くらいの大きさのものを味うばかりである。奈....