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奉還
「奉還〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奉還の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥羽伏見の戦」より 著者:菊池寛
は、幕府の命運既に尽きたるを察して、幕府をしてその終りを全うせしむる意味で、大政
奉還の止むなき所以を説いた建白書を、慶喜に呈した。当時在京中の慶喜悟る所あり、十....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
にその悲しみを深くしたものは、言うことなすこと周囲に誤解された慶喜であろう。大政
奉還の悲壮な意志は後日を待つまでもなく、おそらく将軍職を拝してから間もなかった霜....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。三宮の方角に起こる群集の声は次第に近づいて来る。前年の冬、徳川十五代将軍が大政
奉還のうわさの民間に知れ渡るころから、一か月半以上も京坂各地に続いた「えいじゃな....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
で、木曾の人民の方が無理だと言いますかさ。なんでもわたしの聞いたところじゃ、版籍
奉還ということはだいぶ話が違う。版地民籍の
奉還と言いましたら、土地も人民も朝廷へ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
と反りが合わず、官に頼って事を為すは駄目と見限りをつけて、阿波徳島に帰り、家禄を
奉還して、開業医の生活を始めたのが、明治五年であった。爾来こゝに、孜々として仁術....
「惜別」より 著者:太宰治
で恭順の意を表し、徳川幕府二百数十年、封建の諸大名も、先を争って己の領地を天皇に
奉還した。ここに日本国の強さがある。如何に踏み迷っても、ひとたび国難到来すれば、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、その手段方策というものが土佐一流で、徳川慶喜《とくがわよしのぶ》をして大政を
奉還せしめる、これも異議がない。しかして大政を
奉還せしめた後、天下の公卿諸大名か....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
成功せしめても、世は再び徳川幕府の全盛となりはしない。 もうあの時は徳川の大政
奉還は出来ていたし、小栗の頭は、とうに郡県制施行にきまっていたし、よしまた、ドレ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
が下っていた時である。間もなく土州の山内容堂公は後藤、福岡等を以て慶喜将軍に大政
奉還を勧めらるることになって、それには勤王佐幕両党の聯立内閣を作ることを条件とせ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
金貸をした(虎と蛇の薬をもって来た)人の細君だった。――その時分|漸《ようや》く
奉還金の残りが公債証書で渡されるとかいって悦びあっていた間柄だった――気むずかし....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
の条件とは、いったい何……」
泰軒は、キチンとすわりなおして、
「大政を朝廷へ
奉還することじゃ」
「まじめになって言いだすから、こっちも緊張してきいていればハ....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
作り、後藤象二郎、福岡孝悌、この二人の家臣をして将軍慶喜に奉らしめ、平和に大政を
奉還せしめ、令政をして一途に出でしめ、世界の大勢に順応せしめ、日本の国威を揚げし....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
府の存在は、有害であって無益ではないか! すべからく天下に罪を謝し、政治を京師へ
奉還し、天皇様御親政の日本本来の、自然の政体に返すべきじゃ!」 「先生々々、もう....
「武鑑譜」より 著者:服部之総
さきに幕末から明治初年にかけての武鑑と書いたのを奇異に思われたむきもあろう。版籍
奉還がおこなわれた明治二年七月までは、幕府はなくなって朝廷が旧幕領を直轄したとい....
「明治の五十銭銀貨」より 著者:服部之総
貨を正貨に引換えることを人民が要求するのは、旧藩の権利義務のいっさいが名目(版籍
奉還)だけでも新政府に引きつがれたいまとなっては、なおさら正当であるだろう。 ....