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「奥山〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奥山の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
兵《ちょうへい》はお目こぼしと何を間違えたか届が五年遅うして本当は十一、それでも奥山で育ったから村の言葉も碌《ろく》には知らぬが、怜悧《りこう》な生れで聞分《き....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ま》を、後《のち》に思えば鬼であろう。 台所の灯《ともしび》は、遙《はるか》に奥山家《おくやまが》の孤家《ひとつや》の如くに点《とも》れている。 トその壁の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
猩々たるを懸念する? もっとも学者だと云って、天気の好い日に浅草をぶらついて、奥山を見ないとも限らぬ。その時いかなる必要があって、玉乗の看板を観ると云う、奇問....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
の葉、枯木の閃くばかり、晃々と陽がさしつつ、それで、ちらちらと白いものが飛んで、奥山に、熊が人立して、針を噴くような雪であった。 朝飯が済んでしばらくすると、....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、百綱、道七つ。)とも言えば、(綾を織り、錦を敷きて招じる。)と謡うほどだから、奥山人が、代々に伝えた紙細工に、巧を凝らして、千道百綱を虹のように。飾の鳥には、....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
、湯尾峠の万年姥。針のごとき白髪、朽葉色の帷子、赤前垂。 左に、腰元、木の芽峠の奥山椿、萌黄の紋付、文金の高髷に緋の乙女椿の花を挿す。両方に手を支いて附添う。 ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
底も極めたければ、滝の裏も覗きたし、何か前世の因縁で、めぐり逢う事もあろうか、と奥山の庚申塚に一人立って、二十六夜の月の出を待った事さえあるんです。 トこの間....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
でよろしければ、山で樹の数、幾つだって構やあしませんと、……今度は(浮世はなれて奥山ずまい、恋もりん気も忘れていたが、)……で御機嫌を取結ぶと、それよりか、やっ....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
も吹荒んで、戸障子を煽つ、柱を揺ぶる、屋根を鳴らす、物干棹を刎飛ばす――荒磯や、奥山家、都会離れた国々では、もっとも熊を射た、鯨を突いた、祟りの吹雪に戸を鎖して....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
それで、白足袋でお練でしょう。もう五にもなって真白でしょう、顔はむらになる……奥山相当で、煤けた行燈の影へ横向きに手を支いて、肩で挨拶をして出るんなら可いけれ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
原や、山路のような事を言ってなさらあ、ははは。」 「いやいや、まるで方角の知れぬ奥山へでも入ったようじゃ。昼日中|提灯でも松明でも点けたらばと思う気がします。」....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ざりますが、一坂越えると、滝がござります。そこまでも夜分参るものは少い位で、その奥山と申しますと、今身を投げようとするものでも恐がって入りませぬ。その中でなけれ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
あちこちの木々の茂みの中に、何ともいえぬ美しい鳥の音が聴えます。それは、昔鎌倉の奥山でよくきき慣れた時鳥の声に幾分似たところもありますが、しかしそれよりはもッと....
諸国の玩具」より 著者:淡島寒月
。こんな子供の玩具にも、時節の変遷が映っているのですからな。僕の子供の頃の浅草の奥山の有様を考えると、暫くの間に変ったものです。奥山は僕の父|椿岳さんが開いたの....
式部小路」より 著者:泉鏡花
うに。それに居まわりが居留地で、寂として静かだから、海まで響いて、音楽の神が棲む奥山から谺でも返しそうです。その音楽の神といえば、見たまえ、この硝子窓の向うに見....