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「奥深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奥深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
には怒りというよりも、ある激しい感情の涙が薄く宿っていた。古藤の心の中のいちばん奥深い所が汚《けが》されないままで、ふと目からのぞき出したかと思われるほど、その....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
に悲しいおはまの泣き音に動かされずにはいられない。仕方がないから、佐倉へ降りる。奥深い旅宿の一室を借りて三人は次ぎの発車まで休息することにした。おはまは二人の前....
去年」より 著者:伊藤左千夫
多い。こうなると友人という情義があるのかないのかわからなくなってしまう。腹の底の奥深い所に、怨嗟の情が動いておっても口にいうべき力のないはかない怨みだ。交際上の....
怪星ガン」より 著者:海野十三
て、たいへんはなれている。耳に近いところにあるのだ。望遠レンズのような感じのする奥深い、そして光沢をもった目玉だった。その下に、象の鼻を小さくしたようなものが垂....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
途中、古市の旅籠屋、藤屋の前を通った時は、前度いかい世話になった気で、薄暗いまで奥深いあの店頭に、真鍮の獅噛火鉢がぴかぴかとあるのを見て、略儀ながら、車の上から....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
た事です―― 時に、乗込みましたのが、二等と云う縹色の濁った天鵝絨仕立、ずっと奥深い長い部屋で、何とやら陰気での、人も沢山は見えませいで、この方、乗りました砌....
南地心中」より 著者:泉鏡花
したお百姓、空籠荷うて行違う。 軒より高い競売もある。 傘さした飴屋の前で、奥深い白木の階に、二人まず、帽子を手に取った時であった。――前途へ、今大鳥居を潜....
星女郎」より 著者:泉鏡花
云ったら。高い敷居に褄も飜さず、裾が浮いて、これもするりと、あとは御存じの、あの奥深い、裏口まで行抜けの、一条の長い土間が、門形角形に、縦に真暗な穴で。」 と....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て別に格段の相違もありませぬが、ただこちらの景色の方がどことなく浄らかで、そして奥深い感じが致しました。 岩屋の入口には、神様の言われましたとおり、果たして新....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
衣物もほしいんだよ。あるだろう」 あとではこの様なことが、端近い女部屋から終に奥深い女部屋に伝わった。鄒七嫂は嬉しさの余り彼の絹袴を趙太太の処へ持って行ってお....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
った。その事が後に分ります。……この一構は、村の庄屋で。……端近へは姿も見えぬ、奥深い床の間と、あの砂浜の井戸端と、花は別れて咲きました。が、いずれ菖蒲、杜若。....
雪柳」より 著者:泉鏡花
あります。肥後国、阿蘇の連峰|猫嶽は特に人も知って、野州にも一つあり、遠く能登の奥深い処にもある、と憶う。しかるに前述、獅子屋さん直槙の体験談を聞くうちに、次第....
西航日録」より 著者:井上円了
い風に谷の色あいも濃く、車窓より一望すれば心の中が洗われる思いがする。蘇の山々の奥深いところでは春のおとずれも遅く、白雪におおわれた涅毘山の峰が天にかけられたよ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
のせて汽車はゆき、雲の上に船らしきもの〈飛行機〉があって人はみずから飛ぶ。神秘の奥深いところに道をきり開き、造物主の秘中の機械を発明した。かくのごときことどもを....
雨の宿」より 著者:岩本素白
な佳い場所であった。然し実際私の落ちついたのは、中京も淋しい位静かな町筋の、暗く奥深い呉服屋や、古い扇屋、袋物みせ、さては何を商う家とも、よそ土地の者には一寸分....