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奥行き
「奥行き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奥行きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
深くも二間以上ではあるまい、余を囚人にして此の牢屋は四尺の天地左右で二間足らずの
奥行きなのだ、而も此の隘《せま》い所に鉄の棒や歯の附いた車の様な物が所々に突き出....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の事件をそのままに投《ほう》り出してしまいたくなかった。なんだか此の事件には深い
奥行きがありそうに思われてならなかった。 「骨折り損だと思って、もう少しほじって....
「嵐」より 著者:島崎藤村
郎の歩みは、私自身の踏もうとしている道でもある。三郎はまた三郎で、画面の上に物の
奥行きなぞを無視し、明快に明快にと進んで行っているほうで、きのう自分の描いたもの....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
ういうときには、平常緩やかな傾斜を、梓川まで放出して、低く見える焼岳までが、緑の
奥行きを深くして、山の線が霧と霧の間に、乱れ打つ、椀を伏せたような阿房峠まで、重....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
色の濃淡によってそれらの物の形と線と面と、光による明暗の差別、空間、調子、遠近、
奥行き、容積、重さに至るまでの事を研究了解会得して行くものである。それが素描の意....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
では壁面へ収まってから、色も調子も飛んでしまって存在が弱い。 元来日本の油絵は
奥行きと調子がなく、味わいはあるがうすっぺらで展覧会場で引き立たず、色ざめてしま....
「転機」より 著者:伊藤野枝
まるようになった処が開いている。他は三方とも板で囲われている。覗いて見ると、家の
奥行きは三間とはない。そこの低い床の上に五六枚の畳が敷かれて、あとは土間になって....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、葵の上などという執着の深いものは、立方禁制と言渡されて、破門だけは免れたッて、
奥行きのある婦ですが……金子の力で、旦那にゃ自由にならないじゃなりますまいよ。」....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。菊村の店は四間半の間口で、一方の狭い抜け裏の左側に格子戸の出入り口があった。
奥行きの深い家で、奥の八畳が主人の居間らしく、その前の十坪ばかりの北向きの小庭が....
「大阪の可能性」より 著者:織田作之助
いのだろうとも、一応考えられるけれども、一つには、京都弁そのものが変化に乏しく、
奥行きが浅く、ただ紋切型をくりかえしているだけにすぎないのではあるまいか。 も....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、おそらく遠い昔の人がわざわざ作り設けた棲家であろう。入口は一間ぐらいの広さで、
奥行きは三間ほどの深さをもっていた。穴の中には勿論なんの調度らしいものも見いださ....
「城」より 著者:カフカフランツ
の事務局じゃありませんし、一人一人の役人の事務局なんかじゃないんです。その部屋は
奥行きいっぱいに、壁から壁までとどいているたった一つの立ち机によって二分されてい....
「ハワイの食用蛙」より 著者:北大路魯山人
べてが清潔ということも第一条件でありますが、それだけで終わっているアメリカ料理の
奥行きの浅さを僕は感ぜずにはいられませんでした。 サンフランシスコからシカゴへ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
を拝するに異ならず。 大本山の名はサンピエトロ寺という世界第一の大堂なり。その
奥行き百十六間、中央左右の長さ六十五間、堂の絶頂の高さ二百十六間なり。その建築の....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
いうものは、実にうすっぺらな造花美に過ぎない。しかるに、日本の豌豆の如きは、花も
奥行きのある上品な美を持ち、葉も深々と色艶に潤いを持ち、その上、豆までが優れた香....