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始めて
「始めて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
始めての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
。」
ようやく最初のショックから恢復した私は、その男がこう弁じ立てている間に、
始めて落着いて相手を観察した。彼は額の広い、頬《ほお》のこけた、年にも似合わず眼....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
洞穴《ほらあな》で、神代《かみよ》の夢ばかり見ていたが、お前が木を伐《き》りに来
始めてからは、その笛の音に誘われて、毎日面白い思をしていた。そこで今日はそのお礼....
「影」より 著者:芥川竜之介
もた》げながら、子供を慰めるようにこう云った。それを聞くと房子の頬《ほお》には、
始めて微笑らしい影がさした。
「それこそ御隣の坊ちゃんが、おいたをなすったのに違....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
して、その前に一通り、彼の細君の人物を御話しして置く必要がありましょう。
「私が
始めて三浦の細君に会ったのは、京城から帰って間もなく、彼の大川端《おおかわばた》....
「彼」より 著者:芥川竜之介
《げた》も直しませんで。」
僕等はもう日の暮に近い本所の町を歩いて行った。彼も
始めて顔を合せた彼の妹の心もちに失望しているのに違いなかった。が、僕等は言い合せ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
人物では決してなかった。が、翌日瀬沼兵衛の逐天《ちくてん》した事が知れると共に、
始めてその敵《かたき》が明かになった。甚太夫と平太郎とは、年輩こそかなり違ってい....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
えて、しゃべっているんだ。それも半分泣き声でさ。
「それがあなた、この土地へ来て
始めて活動へ行った晩に、何年ぶりかでその人が写真に出て来たじゃありませんか。――....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
あろうか。――この変化は己の欲望にとって、確かに恐しい打撃だった。己は三年ぶりで
始めてあの女と向い合った時、思わず視線をそらさずにはいられなかったほど、強い衝動....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
は擲銭卜《てきせんぼく》と云います。擲銭卜は昔|漢《かん》の京房《けいぼう》が、
始めて筮《ぜい》に代えて行ったとある。御承知でもあろうが、筮と云う物は、一爻《い....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
天皇《てんちてんのう》の二年秋八月二十七日)日本《やまと》の船師《ふないくさ》、
始めて至り、大唐の船師と合戦《たたか》う。日本《やまと》利あらずして退く。己酉《....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
と姉さんから御暇《おいとま》が出た。」
賢造は苦笑《くしょう》を洩らしながら、
始めて腰の煙草入《たばこい》れを抜いた。が、洋一はまた時計を見たぎり、何ともそれ....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
作の力、生命を掴むばかりでなく、技巧と内容との微妙な関係に一隻眼を有するものが、
始めてほんとうの批評家になれるのだ。江口の批評家としての強味は、この微妙な関係を....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
して皆な暑さを忘るる物なるに、まして川風の肌に心地よき、汗に濡れたる単衣をここに
始めて乾かしたり。紅蓮の魚の仏手に掏い出されて無熱池に放されたるように我身ながら....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
の事件であるか。これにはデビイの事をちょっと述べて置く。 デビーが一八〇一年に
始めてロンドンに出て来たときは、田舎生れの蛮カラだったが、都会の風に吹かれて来る....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
挨拶は簡単だが、心がこもっていた。握手して、肩をぽんとたたいて、哄笑し、「さあ、
始めて下さい。どうぞ召しあがって下さい」と熱心にすすめるという一手だった。 や....