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「娑婆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

娑婆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
)幅の広いマッグの肩越しに一枚の紙をのぞきこみました。 「いざ、立ちてゆかん。娑婆界《しゃばかい》を隔つる谷へ。 岩むらはこごしく、やま水は清く、 薬草の....
道祖問答」より 著者:芥川竜之介
》、煩悩|業苦《ごうく》の三道は、法身般若外脱《ほっしんはんにゃげだつ》の三徳、娑婆《しゃば》世界は常寂光土《じょうじゃつこうど》にひとしい。道命は無戒の比丘《....
少年」より 著者:芥川竜之介
た父や母にけさの出来事を話しているかも知れない。保吉もまた二十年|前《ぜん》には娑婆苦《しゃばく》を知らぬ少女のように、あるいは罪のない問答の前に娑婆苦を忘却し....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
人は社会の前に懺悔している。すると阿呆や悪党を除けば、何びとも何かに懺悔せずには娑婆苦《しゃばく》に堪えることは出来ないのかも知れない。 又 しかし....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
、――泣くな。有王《ありおう》。いや、泣きたければ泣いても好《よ》い。しかしこの娑婆《しゃば》世界には、一々泣いては泣き尽せぬほど、悲しい事が沢山あるぞ。」 ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
で検べるッて、……沙汰の限りだ。 むむ、此奴等、活かして置くんじゃねえけれど、娑婆の違った獣だ、盆に来て礼を云え。」 と突飛ばすと、閑耕の匐った身体が、縁側....
親子」より 著者:有島武郎
っとるが、お前は本当のことを何処でしたことがあるかい。人と生まれた以上、こういう娑婆にいればいやでも嘘をせにゃならんのは人間の約束事なのだ。嘘の中でもできるだけ....
海異記」より 著者:泉鏡花
ぐるぐると巻きつけて、その片端を、胴の間の横木へ結えつけると、さあ、念ばらしだ、娑婆か、地獄か見届けて来るッてな、ここさ、はあ、こんの兄哥が、渾名に呼ばれた海雀....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
よ。そうして見ると善はするがいいし、悪はしちゃなら無え。それが出来なけりゃ、此の娑婆に生れて来て居ても、人間じゃ無えと云うんだ。 お前っちは字を読むからには判....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ら、開放しで皆見えますが、近所が近所だから、そんな事は平気なものです。――色気も娑婆気も沢山な奴等が、たかが暑いくらいで、そんな状をするのではありません。実はま....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
むむ、そりゃ何よ、その本の本文にある通り、伊勢の山田ではぐれた奴さ。いい年をして娑婆気な、酒も飲めば巫山戯もするが、世の中は道中同然。暖いにつけ、寒いにつけ、杖....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
「わりゃ雪女となりおった。が、魔道の酌取、枕添、芸妓、遊女のかえ名と云うのだ。娑婆、人間の処女で……」 また絶句して、うむと一つ、樽に呼吸を詰めて支えると、....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の抜けた頤を埋め、この奥に目あり霞めり。――徒らに鼻が隆く目の窪んだ処から、まだ娑婆気のある頃は、暖簾にも看板にも(目あり)とかいて、煎餅を焼いて売りもした。「....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の世界のお話になりますが、最初はまだ半分足を現世にかけているようなもので、矢張り娑婆臭い、おきき苦しい事実ばかり申上げることになりそうでございます。――ナニその....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
は川蒸汽で縦に七|艘ばかり。 「ここでも人ッ子を見ないわ。」 「それでもちっとは娑婆らしくなった。」 「娑婆といやあ、とっさん、この辺で未通子はどうだ。」と縞の....