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媚び
「媚び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
媚びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
間同士の親しみを交える妨害をした。それは彼等の好意を得ることにも何か彼等の権力に
媚びる卑しさの潜んでいる為だった。さもなければ彼等の同性愛に
媚びる醜さの潜んでい....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
《こ》びるあの男をいじらしく思うのだ。あるいは己の愛している女に、それほどまでに
媚びようとするあの男の熱情が、愛人たる己にある種の満足を与えてくれるからかも知れ....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ふけったように高く笑った。 藤むらさきの袖の蔭から白い顔はまた現われた。彼女は
媚びるように低くささやいた。 「頼もしいと見らるるも、頼もしからぬと見らるるも、....
「鮨」より 著者:岡本かの子
「困るわそんなこと、何とも返事できないわ」 という。さすがに、それには極く軽い
媚びが声に捩れて消える。客は仄かな明るいものを自分の気持ちのなかに点じられて笑う....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
る。その時代は不信にみちた時代であって、人は近親の者さえも信頼しなかった。利休は
媚びへつらう佞人ではなかったから、恐ろしい彼の後援者と議論して、しばしば意見を異....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
気がするのであった。 しかし、その歳|孵化した仔魚は、復一の望んでいたよりも、
媚び過ぎてて下品なものであった。 これを二年続けて失敗した復一は、全然出発点か....
「河明り」より 著者:岡本かの子
うだと木下は思った。その上子供の木下に向って、掻餅を与えながら、一種の手柄顔と、
媚びと歓心を求める造り笑いは、木下に嫌厭を催させた。堺屋のおふくろは箸を投げ捨て....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
こう言うと、身体を揺り上げるようにして笑った。 雛妓は、逆らいもせず、にこりと
媚びの笑いを逸作に送って、 「でしょう」といった。 わたくしはまた雛妓に向って....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
。しかしヒルミ夫人の研究熱は、その昔の純粋なのに比べて、これはただ若き夫万吉郎に
媚びんがための努力であったとは、純潔女史のために惜しんでもあまりある次第だが、な....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
杜はホッと溜息をついた。 お千も同じように、ホッと吐息をついた。そして彼の方に
媚びるような視線を送って、 「――あいつは悪い奴なのよ。あたしの本当の亭主じゃな....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
た。 「簪を返して貰おう」 畳の目のような小皺を寄らせてねとりねとり透明な肌に
媚びを見せて居る海の水を見詰めながら蒔蔵は帯を締め直した。それからずぶと海のなか....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
難い「物」になって仕舞い、自然が与えた美しさだけが、外貌に残る。少し眼尻が下り、
媚びて居るのか嘲って居るのか愁えて居るのか判らない大きな眼、丸味を帯びて小さい権....
「山吹」より 著者:泉鏡花
たとい後へ離れましても、御一所に願えますと、立派に人目が忍べます。――貴方(弱く
媚びて)どうぞ、お連れ下さいましな。 画家 (きっぱりと)それは迷惑です。 夫人....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
しかし贅六でも可い、私は基督教を信じても可い。 私が愛吉の尻押しをして、権門に
媚びて目録を貪らんがために、社会に階級を設くるために、弟子のお夏さんに、ねえ竹永....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
海と通信を交して居りました。可愛らしい(以下四十六字伏字)ちょっと唇を押し当てて
媚びるような微笑を遠くの方から送ります。上海は京都よりもずっと若く、いかにも富豪....