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「媚薬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

媚薬の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文字禍」より 著者:中島敦
れが不審《ふしん》といえば、不審だったが、ナブ・アヘ・エリバは、それも文字の霊の媚薬《びやく》のごとき奸猾《かんかつ》な魔力《まりょく》のせいと見做した。 た....
地獄街道」より 著者:海野十三
こうした妖酒のあることは君にも判るだろう」 「……」私は黙って肯いた。それは例の媚薬などを入れた密造酒のことを指すのであろう。 「これは大変に高価なもので、到底....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
いう都は、物憎い都である。嘆きや悲しみさえも小唄にして、心の傷口を洗って呉れる。媚薬の痺れにも似た中欧の青深い、初夏の晴れた空に、夢のしたたりのように、あちこち....
河明り」より 著者:岡本かの子
ーに酔った一人の青年が、言葉の響を娘にこすりつけるようにして、南洋特産と噂のある媚薬の話をしかけた。すると娘は、悪びれず聞き取っていて、それから例の濃い睫毛を俯....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の頂飾が開いて、この粉末が溢れ出すのだよ。それも、以前マリア・アンナ朝時代では、媚薬などを入れたものだが、この寝台では桃花木の貞操帯になっているのだ。と云うのは....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
た。 そうしてアルコールと、ニコチンと、阿片と、消化剤と、強心剤と、催眠薬と、媚薬と、貞操消毒剤と、毒薬の使い方を教えて、そんなもののゴチャゴチャが生み出す不....
十二支考」より 著者:南方熊楠
いを聞いて発狂するまで母馬が慕うてふからその瘤を持つ人も他に慕わるという迷信より媚薬として珍重したらしい。キュヴィエー曰く、これは牝馬の胎水中時に見る頑石塊で、....
十二支考」より 著者:南方熊楠
のか、嬌女神ヴィナスの異態てふアマトンテの半男女神はこの鳥を使者とし、その信徒に媚薬として珍重された。今村鞆君|元山府尹《げんざんふいん》たり、近く『増補朝鮮風....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
らしい鼻声を出した。が、気疾に頸からさきへ突込む目に、何と、閨の枕に小ざかもり、媚薬を髣髴とさせた道具が並んで、生白けた雪次郎が、しまの広袖で、微酔で、夜具に凭....
鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
同音に、低く呻いた。そのなかは、まるで春のように明るく、暖かく、気のせいか、何か媚薬のように甘い、馥郁たる香気すら漾っているのが感じられた。 然も、この別荘と....
おみな」より 著者:坂口安吾
のインチキカラクリの所産であっても、それなしにウッカリ女も口説かれぬという秘蔵の媚薬。 私のために家出した女があった。その良人が短刀を呑んで追いまわす。女とそ....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
、高貴なそのくせ、からみつくようなところもある、たとえば、蒸溜器の中で調合された媚薬の香とでもいったような、言いあらわしようもないふくよかな香気で、それが、水脈....
俗臭」より 著者:織田作之助
えることも忘れなかった。 その夜、政江は権右衛門に寝酒を出し、その中へ久振りに媚薬を混入した。市治郎は妻と別れて、「芝居裏」で泊った。春松は「芝居裏」は好かぬ....