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媼
「媼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
媼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「貉」より 著者:芥川竜之介
。
夜が明けると、母親は、この唄の声を聞いた話を近くにいた蓆織《むしろお》りの
媼《おうな》に話した。
媼もまたこの唄の声を耳にした一人である。貉が唄を歌いますか....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
しゅうございますが、それも御詮議《ごせんぎ》下さいまし。
検非違使に問われたる
媼《おうな》の物語
はい、あの死骸は手前の娘が、片附《かたづ》いた男でござい....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、お酒の前。……ここから門のすぐ向うの茄子畠を見ていたら、影法師のような小さなお
媼さんが、杖に縋ってどこからか出て来て、畑の真中へぼんやり立って、その杖で、何だ....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
決してない。 切符は五十銭である。第一、順と見えて、六十を越えたろう、白髪のお
媼さんが下足を預るのに、二人分に、洋杖と蝙蝠傘を添えて、これが無料で、蝦蟇口を捻....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
―江の島と富士とを、簾に透かして描いたような、ちょっとした葭簀張の茶店に休むと、
媼が口の長い鉄葉の湯沸から、渋茶を注いで、人皇何代の御時かの箱根細工の木地盆に、....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
に染む泡波のごとく、投げた歯に舌のねばり、どろんとした調子を上げた、遣手部屋のお
媼さんというのが、茶渋に蕎麦切を搦ませた、遣放しな立膝で、お下りを這曳いたらしい....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
を顕わした。 この爺さんは、 「――おらが口で、更めていうではねえがなす、内の
媼は、へい一通りならねえ巫女でがすで。」…… 若い時は、渡り仲間の、のらもので....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
れも本家持の処、小判小粒で仕送るほどの身上でない。……両親がまだ達者で、爺さん、
媼さんがあった、その
媼さんが、刎橋を渡り、露地を抜けて、食べものを運ぶ例で、門へ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
っていたことを。――されば婆さんは今その事について何にも言わなかったが、実はこの
媼、お米に椅子を払って招じられると、帯の間からぬいと青切符をわざとらしく抜出して....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
のにか逢いけむ、われは心着かざりし。四辺には人の往来絶えて、大路の片隅に果物売の
媼一人露店出して残りたり。三角|形の行燈にかんてらの煤煙黒く、水菓子と朱の筆もて....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
赤な夜道を、人脚|繁き賑かさ。 花の中なる枯木と観じて、独り寂寞として茶を煮る
媼、特にこの店に立寄る者は、伊勢平氏の後胤か、北畠殿の落武者か、お杉お玉の親類の....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
る洞穴であることまで、忘れぬ夢のように覚えている、谷の主とも謂いつべき居てつきの
媼、いつもその昔の繁華を語って落涙する。今はただ蚊が名物で、湯の谷といえば、市の....
「多神教」より 著者:泉鏡花
、囃子ばかりでも、大抵|村方は浮かれ上っておりますだに、面や装束をつけましては、
媼、媽々までも、仕事|稼ぎは、へい、手につきましねえ。 笛の男 明後日げいから、....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
柳を手向けられた墓のごとき屋根の下には、子なき親、夫なき妻、乳のない嬰児、盲目の
媼、継母、寄合身上で女ばかりで暮すなど、哀に果敢ない老若男女が、見る夢も覚めた思....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
るか蚊遣の煙の薄りと夏の夕を染めたる中へ、紗であろう、被布を召した白髪を切下げの
媼、見るから気高い御老体。 それともつかぬ状で座敷を見入ったが、 「御客様かい....