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嫖客
「嫖客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嫖客の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
三 喬はたびたびその不幸な夜のことを思い出した。―― 彼は酔っ払った
嫖客《ひょうきゃく》や、
嫖客を呼びとめる女の声の聞こえて来る、往来に面した部屋に....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
と花の便りが、きのう今日あたりから立ちそめかけた春の宵の五ツ前でしたから、無論|
嫖客《ひょうきゃく》は出盛り時です。 だのに突如として色里に野暮な叫び声があが....
「草枕」より 著者:夏目漱石
《げいぎ》と云うものがある。色を売りて、人に媚《こ》びるを商売にしている。彼らは
嫖客《ひょうかく》に対する時、わが容姿のいかに相手の瞳子《ひとみ》に映ずるかを顧....
「名娼満月」より 著者:夢野久作
寺様のお会式にも負けぬという、それは大層な評判であった。 その頃、満月に三人の
嫖客が附いていた。 一人は越後から京都に乗出して、嵯峨野の片ほとりに豪奢な邸宅....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
った。 笠森の茶店の牀几の上で、脇腹を突かれた女房があった。 千住の遊廓では
嫖客が、日本橋の往来では商家の手代が、下谷池之端では老人の易者が、深川木場では荷....
「古狢」より 著者:泉鏡花
子を手にして、 「後刻、お伺いする処でした。」 驚破す、再び、うぐい亭の当夜の
嫖客は――渠であった。 三人のめぐりあい。しかし結末にはならない。おなじ廓へ、....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
くか知らん?」と言っていた処を見ると、遣って行くに相違ない。その他|固より種々な
嫖客に出る。これまでは其様なことが、そう気にならなかったが、しごきをくれた心が忘....
「四十八人目」より 著者:森田草平
がら、桐油をかけた四つ手籠が一丁そばを摺り抜けて行く。吉原の情婦にでも逢いに行く
嫖客を乗せて行くものらしい。が、彼はそんなことにも気がつかなかった。賑やかな廓の....
「陳情書」より 著者:西尾正
え妾は別れられぬ、別れられぬ――と音律も哀愁も無視した黄色い声が聞えて来、酔漢や
嫖客が三々五々姿を彷徨《さまよ》わせて居り、深い夜更けを想う為には時計を見る等し....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
い侍が、毒を飲んで一人死んでいた。前髪立ての美男であって、浦里のもとへ通って来た
嫖客の一人だということであったが、それかあらぬか浦里は、自分親しく施主に立って立....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
けようという、そういう目的であったからでもある。夜鷹がその家へ集まるので、当然に
嫖客が集まって来る。その
嫖客たるや大変物で、折助や船頭や紙屑買いや、座頭や下職や....
「名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
遊郭 たとひ中村遊郭が、東洋一の建築美を誇つても、さうして今なほ木の香新らしく
嫖客の胸を打つても、やはり遊郭は旧時代の遺物である。いつそ古ければまだ古いだけに....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
まいました。店の女たちが珍しいので、私にも、私にもといって買い、格子先に立ってる
嫖客などが、では、俺等も買おうと買ったりして、旨くはけてしまったので、私も大いに....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
《あらめ》橋へかけて小舟町三丁目の通りに、晴れの日には雪駄、雨には唐傘と、すべて
嫖客の便を計って陰陽の気の物をひさぐ店が櫛比《しっぴ》しているところから江戸も文....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
多く用いられることになる。殿中にあって将軍大名の雑役に服するものも、遊里にあって
嫖客の興を助くるものも、みな坊主をもって呼ばれることとなる。ここに至っては真の坊....