嬌態[語句情報] » 嬌態

「嬌態〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嬌態の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
もう左手の小指を器用に折り曲げて、左の鬢《びん》のほつれ毛を美しくかき上げるあの嬌態《しな》をして見せる気はなくなっていた。室《へや》のすみに腰かけて、手携《て....
高野聖」より 著者:泉鏡花
眉《まゆ》を開いて恍惚《うっとり》となった有様《ありさま》、愛嬌《あいきょう》も嬌態《しな》も、世話らしい打解《うちと》けた風はとみに失《う》せて、神か、魔《ま....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の間に、男性はその活動によって益※練絹の外衣の下に襤褸の肉衣を着る)、本能の如き嬌態、女性間の嫉視反目(姑と嫁、妻と小姑の関係はいうまでもあるまい。私はよく婦人....
妖術」より 著者:泉鏡花
けますか。」 「でも、その方がお好な癖に……」 と云って、肩でわざとらしくない嬌態をしながら、片手でちょいと帯を圧えた。ぱちん留が少し摺って、……薄いが膨りと....
古狢」より 著者:泉鏡花
。 「町子嬢、町子嬢。」 「は。」 と頸の白さを、滑かに、長く、傾いてちょっと嬌態を行る。 「気取ったな。」 「はあ。」 「一体こりゃどういう事になるんだい。....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
俯向き加減、前髪の冷たさが、身に染む風情に、すべすべと白い肩をすくめて、乳を隠す嬌態らしい、片手柔い肱を外に、指を反らして、ひたりと附けた、その頤のあたりを蔽い....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
生、上杉さんは、その様子じゃ大分一雪女史が贔屓らしい。あの容色で、しんなりと肩で嬌態えて、机の傍よ。先生が二階の時なぞは、令夫人やや穏ならずというんじゃないかな....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
……血の道らしい年増の女中が、裾長にしょろしょろしつつ、トランプの顔を見て、目で嬌態をやって、眉をひそめながら肩でよれついたのと、入交って、門際へどっと駈出す。....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
から、しなやかな裳が、土手の翠を左右へ残して、線もなしに、よろけ縞のお召縮緬で、嬌態よく仕切ったが、油のようにとろりとした、雨のあとの路との間、あるかなしに、細....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ていた処。 (入ッて遊びねえ、遊びねえよ。) ッたが、初心ですからね、うじうじ嬌態をやっていた、とお思いなさい。 いきなり、手をのばすと、その新造の胸倉を打....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
れ声をして倦怠そうに戯れていた。人間なら好い齢をした梅干婆さんが十五、六の小娘の嬌態を作って甘っ垂れるようなもんだから、小※らしくて撲り倒してやりたい処だが、猫....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
デモ小間使をお伴につれていたが、その頃流行した前髪を切って前額に垂らした束髪で、嬌態を作って桃色の小さいハンケチを揮り揮り香水の香いを四辺に薫じていた。知らない....
」より 著者:岡本かの子
蔵の家。 ――しかと承知した。して、そなたが礼に来て呉れる夜は。 女艶にはにかむ嬌態をしながら ――日もつごもりの晦ごと、闇を合図にとんとんと、霰まじりに戸を叩....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
り気にしないで呉れ給え」 私は良人が私をうち見守る眼差の中で、結婚して始めての嬌態を作って、こう云わないでは居られませんでした。 「値打ちのある目的って、どん....
」より 著者:岡本かの子
娘には紙細工の着物のように見えた。出来上った娘の姿を見て「この娘には、まるで女の嬌態が逆についている」と母親が、がっかりした。けれども、美容師の蔦谷女史は、心か....