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嬰
「嬰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嬰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
森は仁右衛門が眼を覚ましたのを見ると、
「早《はよ》う内さ行くべし。汝《われ》が
嬰子《にが》はおっ死《ち》ぬべえぞ。赤痢さとッつかれただ」
といった。他愛のない....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
るんだのを感じて私は顔を挙《あ》げて見た。産婆の膝許《ひざもと》には血の気のない
嬰児《えいじ》が仰向けに横たえられていた。産婆は毬《まり》でもつくようにその胸を....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
てあるんだ。 揃って容色も好、また不思議に皆別嬪だ。知ってるだろう。生れたての
嬰児の時は、随分、おかしな、色の黒いのもあるけれど、母さんが手しおに掛けて、妙齢....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
うぞ。私は時々私自身に対して神のように寛大になる。それは時々私の姿が、母を失った
嬰児の如く私の眼に映るからだ。
嬰児は何処をあてどもなく匍匐する。その姿は既に十分....
「海異記」より 著者:泉鏡花
浜ッ児にも内証だよ。」 と密と伸上ってまた縁側から納戸の母衣蚊帳を差覗く。 「
嬰児が、何を知ってさ。」 「それでも夢に見て魘されら。」 「ちょいと、そんなに恐....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
風もないのに、かさかさと聞こえるので、九十九折の山路へ、一人、篠、熊笹を分けて、
嬰子の這出したほど、思いも掛けねば無気味である。 ああ、山伏を見て、口で、ニヤ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、ものの十日も経つと、また出して見て洗い直すまでにして、頼まれたものは、兄さんの
嬰児のおしめさえ折りめの着くほど洗濯してさ。」 「おやおや、兄の
嬰児の洗濯かね。....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
風で、皆白けて控えた。更めて、新しく立ちかかったものもあった。 室内は動揺む。
嬰児は泣く。汽車は轟く。街樹は流るる。 「誰の麁※じゃい。」 と赤ら顔はいよい....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
のごとく、煤けた姑獲鳥のありさまで、おはぐろ溝の暗夜に立ち、刎橋をしょんぼりと、
嬰児を抱いて小浜屋へ立帰る。……と、場所がよくない、そこらの口の悪いのが、日光が....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
こに雨やみをしているもいいが、この人が、」 と見返って、莞爾して、 「どうも、
嬰児のように恐がって、取って食われそうに騒ぐんで、」 と今の姿を見られたろう、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
上の廂に生えた一八の中に軽く留まった。 「さあ、団扇、それ、ははは……大きな女の
嬰児さんだな。」と立ちも上らず坐ったまま、縁側から柄ばかり庭の中へ差向けたが、交....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
と、それは何の用に立つかと、すぐにきく癖の人がある。フランクリンはかような人には
嬰児は何の用に立つのかと答えたい。始めて塩素をシールが発見した時には、実用になら....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
煙も細くかの柳を手向けられた墓のごとき屋根の下には、子なき親、夫なき妻、乳のない
嬰児、盲目の媼、継母、寄合身上で女ばかりで暮すなど、哀に果敢ない老若男女が、見る....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
もないが、ひょんと構えたり、腹を見せて仰向けに反った奴などは、そのままです。瓜の
嬰児が踊っている。……それに、私は踏込んで見る気はありませんでしたが、この二三枚....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
校と背合せになっている紋床の親方、名を紋三郎といって大の怠惰者、若い女房があり、
嬰児も出来たし、母親もあるのに、東西南北、その日その日、風の吹く方にぶらぶらと遊....