存する[語句情報] » 存する

「存する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

存するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
である。すると十円を返すためにはこの十円札を保存しなければならぬ。この十円札を保存するためには、――保吉は薄暗い二等客車の隅に発車の笛を待ちながら、今朝《けさ》....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
さえ、無上の快に数えているではないか? 且《かつ》又水や寒気などにも肉体的享楽の存することは寒中水泳の示すところである。なおこの間の消息を疑うものはマソヒズムの....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
理がつねに働いている。 しかも今日我々が父兄に対して注意せねばならぬ点がそこに存するのである。けだしその論理は我々の父兄の手にある間はその国家を保護し、発達さ....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
の途に就《つ》けるなりき。 その歩行《あゆむ》や、この巡査には一定の法則ありて存するがごとく、晩《おそ》からず、早からず、着々歩を進めて路《みち》を行くに、身....
婦系図」より 著者:泉鏡花
たに。 ここで賽は河野の手に在矣。ともかくもソレ勝負、丁か半かは酒井家の意志の存する処に因るのみとぞなんぬる。 先生が不承知を言えばだけれども、諾、とあれば....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
出来ない。 又本能として自己の表現を欲求する個性は、習性的生活にのみ依頼して生存するに堪えない。単なる過去の繰り返しによって満足していることが出来ない。何故な....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
いうことは、何ら筆紙に書き残された典拠のない場合のことである。しかしそんなものの存するためにはかなり高い文化が必要であるから、野蛮人からそういうものが伝わろうと....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
共に人類の本能であり、正義に対するあこがれと力に対する依頼は、われらの心の中に併存する。昔の坊さんは宗論に負ければ袈裟をぬいで相手に捧げ、帰伏改宗したものと聞く....
新日本の進路」より 著者:石原莞爾
とは嚴肅なる反省を要するが、それが廣く國民の心を得た事情には、十分理解すべき面が存するであろう。 ただしアメリカが自由主義から堂々と統制主義に前進したに反し、....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
々|身体を焼きて、恍として、茫として、ほとんど無意識に、されど深長なる意味ありて存するごとく、満身の気を眼にこめて、その瞳をも動かさで、じっと人を目詰むれば他を....
黒百合」より 著者:泉鏡花
。 「可いッてんだい。」 「お待ち!」とばかりで婦人も商売を忘れて、別に心あって存するごとく、瞳を据えて面を合せた。 ちょうどその時、四五十歩を隔てた、夜店の....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
断片である。生前の行為と、その行為に伴う結果とは、肉体の死後に於ても依然として残存する。故意に犯せる罪悪の流れは、どこまで行っても、因果の筋道を辿りて消ゆること....
格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
れない。しかし其処に独特のシャルム――たとえば精神的カメレオンに対するシャルムの存することも事実である。 宇野浩二は本名格二(或は次)郎である。あの色の浅黒い....
「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
品中、絵画的効果を収むべき描写は、屡、破綻を来しているようである。こう云う傾向の存する限り、微細な効果の享楽家には如何なる彼の傑作と雖も、十分の満足を与えないで....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
。小栗は幕末に生れたりといえども、その精神気魄純然たる当年の三河武士なり。徳川の存する限りは一日にてもその事うるところに忠ならんことを勉め、鞠躬尽瘁、終に身を以....