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「存分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

存分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
た。自分もあんな事を想《おも》い、あんな事をいうのかと思うと、葉子の自尊心は思う存分に傷つけられた。 ほかの原因もある。しかしこれだけで充分だった。二人《ふた....
或る女」より 著者:有島武郎
っさりした、魚の鮮《あたら》しい夕食を済ますと葉子は風呂《ふろ》をつかって、思い存分髪を洗った。足《た》しない船の中の淡水では洗っても洗ってもねちねちと垢《あか....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
しめやかなささ啼《な》きを伝えはじめた。腐るべきものは木の葉といわず小屋といわず存分に腐っていた。 仁右衛門は眼路《めじ》のかぎりに見える小作小屋の幾軒かを眺....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
ことはどうしても出来ない。私がお前たちの母上の写真を撮ってやろうといったら、思う存分化粧をして一番の晴着を着て、私の二階の書斎に這入って来た。私は寧《むし》ろ驚....
卑怯者」より 著者:有島武郎
じゅう》をここでちゃんと見ていたんだぞ。べらぼうめ! 配達屋を呼んで来い」 と存分に痰呵《たんか》を切ってやりたかった。彼はいじいじしながら、もう飛び出そうか....
星座」より 著者:有島武郎
ら本が少しとどきましたから何んなら見にいらっしゃい」 と挨拶して、指の股を思い存分はだけた両手で外套をこすり続けながら忙しそうに行ってしまった。何んのこだわり....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
に合わせを言おうものなら軽蔑してやるぞといったような鋭さが見えた。よし、それじゃ存分に言ってやろうと私もとうとうほんとうに腰をすえてかかるようにされていた。 ....
親子」より 著者:有島武郎
いた。彼らはいずれも、古手拭と煙草道具と背負い繩とを腰にぶら下げていた。短い日が存分西に廻って、彼の周囲には、荒くれた北海道の山の中の匂いだけがただよっていた。....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
思案を捨ててかかろう。許されるかぎりに於て大胆になろう。 私が知り得る可能性を存分に申し出して見よう。唯この貧しい言葉の中から暗示が姿を隠してしまわない事を私....
クララの出家」より 著者:有島武郎
の上控えてはいられなかった。椅子からすべり下りると敷石の上に身を投げ出して、思い存分泣いた。その小さい心臓は無上の歓喜のために破れようとした。思わず身をすり寄せ....
旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
愉快にしていようよ。大いに愉快にね。泣くことなら、あす、きみのでていったあとで、存分に泣けるからな。」 お姫さまのところへ、あたらしい結婚の申し込み手がやって....
」より 著者:秋田滋
ていたのでした。 わたくしが申しあげることは、これだけであります。なにとぞ、ご存分にわたくしをご処刑願います」 異様な沈黙が法廷を重くるしく圧しつけているら....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の富が両側にならんでいるのに、今は右も見ず左も見ずに真直ぐに厩へ歩いてゆき、思う存分力をこめて馬をなぐったり蹴ったりして、乱暴にたたきおこした。馬はここちよい場....
狂人日記」より 著者:秋田滋
してあるまい。私はその苺の木の実を毎日食うのだ。実際、人はその手段さえ解ったら、存分に生活を享楽することが出来るだろう。 下男は、飼っていた小鳥が逃げたのだと....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
だよ……どうだ少しドモ又に似てきたか……他人の運命を狂わした罪科に対して、堂脇は存分に罰せらるべきだよ。 沢本 そうだとも。なにしろあいつの金力が美の標準をめ....