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「存外〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

存外の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
英雄の器」より 著者:芥川竜之介
この語《ことば》につれて、一同の口からは、静な笑い声が上った。が、呂馬通は、存外ひるまない。彼は髯から手を放すと、やや反《そ》り身になって、鼻の高い、眼光の....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
近在に玄鶴が公然と囲って置いた女中上りのお芳だった。 お鈴はお芳の顔を見た時、存外彼女が老《ふ》けたことを感じた。しかもそれは顔ばかりではなかった。お芳は四五....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
目的としている作者は別として、少しでも気魄《きはく》のある作者なら、この危険には存外おちいりやすい。だから馬琴は、この年まで自分の読本に対する悪評は、なるべく読....
河童」より 著者:芥川竜之介
へ声をかけました。僕はあるいはその河童は逃げ出しはしないかと思っていました。が、存外落ち着き払って巡査の前へ歩み寄りました。のみならず腕を組んだまま、いかにも傲....
」より 著者:芥川竜之介
一しょに亀井戸《かめいど》に近い場末《ばすえ》の町へ行った。彼の妹の縁づいた先は存外《ぞんがい》見つけるのに暇《ひま》どらなかった。それは床屋《とこや》の裏にな....
奇遇」より 著者:芥川竜之介
弱っています。 編輯者 (気がなさそうに)そんな本が何冊もあるのですか? 小説家存外ありますよ。日本人が書いたのでは、七十八日遊記、支那文明記、支那漫遊記、支那....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
蓮へ声をかけた。 「おい、そこを開けてやれよ。」 が、彼女が襖を開けると、犬は存外ゆっくりと、二人の枕もとへはいって来た。そうして白い影のように、そこへ腹を落....
古千屋」より 著者:芥川竜之介
あろうな?」 古千屋ははっとしたらしかった。が、ちょっとためらった後《のち》、存外《ぞんがい》はっきり返事をした。 「はい。お羞《はずか》しゅうございますが…....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
」 「妙な伝説?」 私は眼を麻利耶観音から、思わず田代君の顔に移した。田代君は存外|真面目《まじめ》な表情を浮べながら、ちょいとその麻利耶観音を卓子《テーブル....
蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
山も、足の下になってしまいました。この分でのぼって行けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかも知れません。※陀多は両手を蜘蛛の糸にからみながら、ここへ来てか....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
等を人畜生《にんちくしょう》としなければならないのであろう。我々と彼等との差は、存外大きなものではない。――江戸の町人に与えた妙な影響を、前に快からず思った内蔵....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た。その上あんなに食気《しょっけ》までついたようでは、今まで心配していたよりも、存外|恢復《かいふく》は容易かも知れない。――洋一は隣を覗きながら、そう云う嬉し....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
《しり》の下に敷き、敷島《しきしま》でも一本吸おうとした。しかし僕のマツチの火は存外強い風のために容易に巻煙草に移らなかった。 「おうい。」 Mはいつ引っ返し....
江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
、この微妙な関係を直覚出来る点に存していると思う。これは何でもない事のようだが、存外今の批評家に欠乏している強味なのだ。 最後に創作家としての江口は、大体とし....
小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
僕の見た小杉未醒氏は、気の弱い、思いやりに富んだ、時には毛嫌いも強そうな、我々と存外縁の近い感情家肌の人物である。 だから僕に云わせると、氏の人物と氏の画とは....