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季節外れ
「季節外れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
季節外れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
い男であるということだけが朧気にわかった。 三日経つと、当の軽部がやって来た。
季節外れの扇子などを持っていた。ポマードでぴったりつけた頭髪を二三本指の先で揉み....
「ふもれすく」より 著者:辻潤
。僕の知っていた模範青年の妹が潰されたり、親友の女工が焼け死んだりした。 僕は
季節外れの震災談をしようとしているのではないが、ついでにちょっと思い出しているば....
「錯覚自我説」より 著者:辻潤
1 現代においてはすべて形而上的な一切の思想は
季節外れである。芸術(特に文学)においても幻想的な、主観的な、浪漫的なものはすで....
「え゛りと・え゛りたす」より 著者:辻潤
さいおう》が馬であると、とりあえず喜んで見たのだがひるがえって考えると少からず「
季節外れ」感があるのだ。 自分も今では立派な四十男なのだ。人間四十有余歳にもな....
「食魔」より 著者:岡本かの子
柄だ。自分なんかの存在はどうだってよい。彼はその気持から、夫人が好きだといった、
季節外れの蟹を解したり、一口|蕎麦を松江風に捏ねたりして、献立に加えた。ふと幼い....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
にしてくれるわ。やい。どこだ。空ならば降りて来い。二度と再び舞い上れぬよう、その
季節外れの扇をうぬが眼から出た火で焼き捨ててくれるわ。どぶ酒に酔いしれたような、....
「青服の男」より 著者:甲賀三郎
こんな叫び声が聞えたら、あすこ、こゝの別荘から忽ち多勢の人が飛んで来ようが、今は
季節外れの十二月で、殊にこの別荘地帯は茅ヶ|崎でも早く開けた方で、古びた家が広々....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
した。 立川へ行くと、意外に早く日脚が傾いて、もう夕食の時刻になっていました。
季節外れではありましたけれど、川の岸にある小さな家へはいって、有り合せのものでよ....
「不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
つけて貰った。 そこの旅館の、丘の松林の中にある離屋を、お前はよく知ってるね。
季節外れのこと故、静かすぎるほどだった。その一室で、僕は時々遠く海に眼をやるきり....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
ところはなし、といって働かねば食えず、二十五歳の秋には、あんなに憧れていた夜店で
季節外れの扇子を売っている自分を見出さねばならなかったとは、何という皮肉でしょう....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
、蔓が二本はえている。足がひょろ長く、傘が薄く、大きく全体に黄色みを帯びている。
季節外れの見馴れない蔓だ。その蔓を、カヨは下駄で踏みにじり、あたり近所に塩をふり....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
声に変った。 「この野郎! 誰に断ってトロに触った?」 其処には古い印袢天に、
季節外れの麦藁帽をかぶった、背の高い土工が佇んでいる。――そう云う姿が目にはいっ....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
は嘲笑った。「唐徽宗皇帝さえ苦心して描いた牡丹の図を、名もない田舎の百姓によって
季節外れと嘲られたため描き改めたと申すではないか。役目をもって申し付ける。持ち返....
「婚期はずれ」より 著者:織田作之助
震いしたが、けれどもその間縁談が無かったわけでもない。 父親が死んで間もなく、
季節外れの扇子など持った男が不意に来て、縁談だった。気配で何かそれらしく、おたか....
「俗臭」より 著者:織田作之助
。最近伝三郎がこの行事を見習っている。が、彼は鰯が好きだから、むしろ贅沢になる。
季節外れや走りの鰯をたべたがるからだ。政江の苦心とは少々違うのである。もう一つ彼....