孤影[語句情報] »
孤影
「孤影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
孤影の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
》の荒い半オオヴァの襟を立てた田中君が、洋銀の握りのある細い杖をかいこみながら、
孤影|悄然《しょうぜん》として立っている。田中君の想像には、さっきからこの町のは....
「美男子と煙草」より 著者:太宰治
くて、そのために徒党を組んで、やたらと仲間ぼめして、所謂《いわゆる》一致団結して
孤影の者をいじめます。 私は、負けそうになりました。 先日、或るところで、下....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
ありて一|日の期をあやまりたれば、武男は呉より乗ることに定め、六月の十日というに
孤影|蕭然として東海道列車に乗りぬ。 宇治の黄檗山を今しも出で来たりたる三人連....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
白鶴梅《はくつるばい》」
「亦楽梅《えきらくばい》」
「長条梅」
「馬屋梅」
「
孤影梅」
「玉堂梅」
「飛雲梅」
「金籠梅」
「珠簾梅」
「娟女梅《けんじょばい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
す。日本アルプスの大屏風《おおびょうぶ》を背景にして、松本平を前に望むところ――
孤影|飄々《ひょうひょう》として歩み行くあとを、女が追いかけました。 「まあ、片....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
あとへ、人魂が一つ離れたように、提灯の松の下、小按摩の妄念は、列の中へ加わらずに
孤影|※然として残っている。…… ぬしは分らない、仮装であるから。いずれ有志の....
「運命のままに」より 著者:豊島与志雄
達をもなるべく避けるようにした。そして仄暗い裏通りを首垂れながら歩いている自分の
孤影を見出しては、憂鬱な気分が益々濃くなっていった。 私は英子と欽一郎との間に....
「生あらば」より 著者:豊島与志雄
た。 ふいと表に飛び出すと、空が晴れていた。日が輝いていた。その中に在る自分の
孤影が急に涙ぐまるるまで佗びしかった。そして光子の名をまた心の中で呼んだ。 光....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
定的の極上品で、土の中からぬきたてのゴボウみたいだと言ふ。なるほど、うまい。全く
孤影悄然、挨拶一つ言はず、頭をペコリとも下げないから土だらけのゴボウのやうだ。 ....
「死と影」より 著者:坂口安吾
翳であった。私自身が、影だけであった。そのとき、私は、京都にいた。独りであった。
孤影。私は、私自身に、そういう名前をつけていたのだ。 矢田津世子が、本当に死ぬ....
「映画の普及力とは」より 著者:伊丹万作
のが一番おもしろいものだ。私はあるとき試写室でフェデの「女だけの都」をただ一人で
孤影悄然として観賞した経験があるがおもしろくもおかしくもなかつた。第二に前述のご....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
ールインあそばす。某競輪雑誌がこの独走ゴールインの写真説明に曰く、 「御覧の如く
孤影愕然と、また独り悠々とゴールイン。もちろん一着!」 車券が外れて、よほど口....
「放浪作家の冒険」より 著者:西尾正
と、突然日本に郷愁を感じたものか、再びもとの懐しい紡縷《ぼろ》を纏《まと》うて、
孤影|瀟然《しょうぜん》として帰来したのである。 かくて樹庵次郎蔵は、約一年間....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
やすやと、春風の小枕に小波を寄せている。私はただ屏風の巌に、一介の栄螺のごとく、
孤影|煢然として独り蓋を堅くしていた。とにかくです、昼夜とも、その連中に、いまだ....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
女子の媚《こび》を売るものに就《つ》いて見るも、また団結を以て安全となすものと、
孤影|悄然《しょうぜん》として猶且つ悲しまざるが如きものもある。銀座の表通に燈火....