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孱
「孱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
孱の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
はともかくも武人の少将である、しかも力自慢の大男である。その大男に強くひかれて、
孱細《かぼそ》い左少弁は意気地もなくへなへなとそこに引き据えられた。 「やい、兼....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
というて、それが今年か来年のことか。ここの年季《ねんき》は丸六年、わたしのような
孱弱《かよわ》い者は、いつ煩ろうていつ死ぬやら」 「はて、不吉な。気の弱いにも程....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
枚で、これから毎朝|跣足《はだし》参りをするんだそうですが、見るから痩せぎすな、
孱弱《ひよわ》そうな人ですから、からだを痛めなければいいがと案じています。そりゃ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た」と、半七は褒めるように云った。「お前だからまあその位のことで済んだが、あんな
孱細《かぼそ》い娘っ子が荒熊に取っ捉《つか》まって見ねえ。どんな大怪我をするか判....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
春もしまいには忌な心持になった。なんだか薄気味悪くもなって来た。 しかし相手は
孱細い娘である。まさかに物取りや巾着切りでもあるまい。文字春は今年二十六で、女と....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
から尾張屋の厄介になってやっぱり店の仕事を手伝っているんですが、どっちかというと
孱弱い方で、米屋のような力仕事には不向きなので、遊び半分にぶらぶらしているようで....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
も近来はよほど丈夫になったと人も云い、自分もそう信じているのですが、土台の体格が
孱弱く出来ているのですから、迚も刺青などという荒行の出来る身体ではない。勿論、方....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
諫められた位である。だから、武将中最も教養あり、その詩に、 簷外風光分外薪 |捲
孱願亦|有 一笑靄然|如 歌に、 さみだれに庭のやり水瀬を深み浅茅がすゑは波よ....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
あるのに、何が不足でこの播磨を疑ったと、彼は物狂わしいほどに哮り立って、力任せに
孱弱い女を引摺り廻してむごたらしく責めさいなんだ。女の白い頬は板縁にこすり付けら....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ば疾風落葉を巻くが如き勢いで、さッと飛んで来て冬子に獅噛付いた。あれと云う間に、
孱弱い冬子は落葉の上に捻倒されると、お葉は乗し掛って其の庇髪を掴んだ。七兵衛は胆....
「三国志」より 著者:吉川英治
江陵より攻め来り、張飛は※帰より攻め来り、また、黄忠は公安の山陰から現れ、魏延は
孱陵の横道から殺到しつつあるということです。兵数そのほか、事態はまだよく分りませ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
憎々しく大きく、群獣をぬいて高く怒号するもの、 うそぶき、笑い、闊歩するもの、
孱弱く疲れていざり寄るもの、 ごろりと仰向きに臥ている牡、右の前|鰭で、はたり....
「春の大方山」より 著者:木暮理太郎
と、枝という枝を霧氷に飾られた大小二本の樅の間から、雲表に聳ゆる富士が笑ましげに
孱顔を顕し、宛然一幅の画であった。 登るに従って霧氷は益美しく、残雪は多くなり....