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孵
「孵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
孵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
てやった。受持教員はそれを読んで仰天《ぎょうてん》した。そしてそれが当日郡長や、
孵化場長《ふかじょうちょう》や、郡農会の会長やの列座の前で読み上げられた時、清逸....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
である。たとえばめんどりのごとき自信と執拗さをもって俳優を温め温めて、ついに彼が
孵化するまで待つだけの精神的強靱さを持たなければならぬ。 ○演技とは俳優が「自己....
「蠅」より 著者:海野十三
ルもある蠅が棲んでいたという記録があるが、あの卵はその蠅の卵だったんだ。恒温室で
孵化して、それで先刻からピシピシと激しい音響をたてていたんだ。ああ、タンガニカの....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
性の慈しみに痩せた身体もいっぱいに膨れる気がするのであった。 しかし、その歳|
孵化した仔魚は、復一の望んでいたよりも、媚び過ぎてて下品なものであった。 これ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
働け働け、行ってみんなを指図するがよい。ええと今日は温室の整埋だ。ええとそれから
孵卵器の取り付け、ええとそれから蜂の巣の製造、忙《せわ》しいぞ忙しいぞ随分忙しい....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
けれどもほかの家鴨達は、じろっとそっちを見て、こう言うのでした。 「ふん、また一
孵り、他の組がやって来たよ、まるで私達じゃまだ足りないか何ぞの様にさ! それにま....
「博物誌」より 著者:岸田国士
は一面に毛で固め、内側はまんべんなく生毛で包んである。その中で、雛が四羽、卵から
孵った。私は父にこう言った―― 「あれを捕って来て、自分で育てたいんだけれどなあ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
思われ、また何ものかが生れ出ようとして悩んでいるようにも思われる。抱いた夢は雛を
孵えさねばならない。それがどんな雛であるか、かれはまだそれを問うてみようともしな....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
うと強情に答えた。それから五、六日経つと磯貝は一箇の薄黒い卵を持って来て、これを
孵してくれといった。見馴れない卵であるからその親鳥をきくと、それは慈悲心鳥である....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
かった。 もとより人里には遠く、街道|端れの事なれば、旅の者の往来は無し。ただ
孵化り立の蝉が弱々しく鳴くのと、山鶯の旬脱れに啼くのとが、断れつ続きつ聴えるばか....
「入れ札」より 著者:菊池寛
て、裏山へかかって来るに連れて、夜がしらじらと明けて来た。丁度上州一円に、春蚕が
孵化ろうとする春の終の頃であった。山上から見下すと、街道に添うた村々には、青い桑....
「若鮎について」より 著者:北大路魯山人
などを通って宇治川へ落ちて出ると、立派に成長するらしい。それかあらぬか、琵琶湖で
孵化したあゆの稚魚を地方の渓流へ放流すると、通常のあゆ通り立派に成長することが分....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
夜明けであった。隅田川以東に散在する材木堀の間に挟まれた小さな町々の家並みは、やがて
孵化する雛を待つ牝鶏のように一夜の憩いから目醒めようとする人々を抱いて、じっと静....
「冬のちょう」より 著者:小川未明
安全な場所を探していたのでした。 もう、季節は秋の半ばだったからです。その卵が
孵化して一ぴきの虫となって、体に自分のような美しい羽がはえて自由にあたりを飛べる....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
空飛ぶ鳥の鳴声を聞いて呼び交わそうとしている趣に譬え、禅家の方では卵の中で、いま
孵ったばかりの小雛が外へ向って呼ぶ声と、外の母鶏が卵の中からその小雛を連れ出そう....