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「安らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

安らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
――――――――――――――――― しかしその間も阿濃《あこぎ》だけは、安らかな微笑を浮かべながら、羅生門《らしょうもん》の楼上にたたずんで、遠くの月の....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
為に催眠薬を与える外にもヘロインなどを注射していた。けれども彼には眠りさえいつも安らかには限らなかった。彼は時々夢の中にお芳や文太郎に出合ったりした。それは彼に....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
何物をも蔵していない。いわばこの桶の中の空《そら》のように、静かながら慕わしい、安らかな寂滅《じゃくめつ》の意識であった。一切の塵労《じんろう》を脱して、その「....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
には似たもの夫婦で、たといこれと申すほどの花々しい楽しさはございませんでも、まず安らかなその日その日を、送る事が出来たのでございます。 するとあの大地震《おお....
河童」より 著者:芥川竜之介
のように色にもおぼれない。とにかくわたしの生涯はたといしあわせではないにもしろ、安らかだったのには違いあるまい。」 「なるほどそれでは安らかでしょう。」 「いや....
女体」より 著者:芥川竜之介
けて、もずもず這って行くらしい。細君は、裸のまま、さっきから楊の方へ顔を向けて、安らかな寝息を立てているのである。 楊は、その虱ののろくさい歩みを眺めながら、....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
しい赤いものが、かんがりと灰を照らしている。その火気を感じると、内蔵助の心には、安らかな満足の情が、今更のようにあふれて来た。丁度、去年の極月《ごくげつ》十五日....
羅生門」より 著者:芥川竜之介
まった。後《あと》に残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆を見下しながら、少し....
路上」より 著者:芥川竜之介
二度目の沈黙を、前のように息苦しくは感じなかった。むしろ彼はその沈黙の中に、ある安らかな幸福の存在さえも明かに意識していたのだった。 十六 ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
同じ桃花《とうか》の寝床には、酒の※《におい》のする大気都姫《おおけつひめ》が、安らかな寝息を立てていた。これは勿論彼にとって、珍しい事でも何でもなかった。が、....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ぶとん》や枕《まくら》を知らぬ鳥は! 鳥はもう静かに寝入っている。夢も我我より安らかであろう。鳥は現在にのみ生きるものである。しかし我我人間は過去や未来にも生....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
が、思い出す丈思い出し、泣きたい丈泣きつくした時に、後には何ともいえぬしんみりと安らかな気分が私を見舞ってくれました。こんないくじのない者に幾分か心の落つきが出....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
いや、お前は若い者に似合わず、感心に物のわかる男だ。ではこれからは貧乏をしても、安らかに暮して行くつもりか」 杜子春はちょいとためらいました。が、すぐに思い切....
母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
れでもあきらめずにもう一度いってみました。 けれども女は、 「わたしはこのまま安らかに死んでゆきとうございます。」 といいました、そしてまた消えてゆくような....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
る墓地に陽の光がしずかに眠っているのを見たら、だれでも、少くともここならば死人が安らかに眠ることができるだろうと思うにちがいない。教会の一方には、樹木のしげった....