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安価
「安価〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安価の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ともに、彼の中にある芸術家は当然また後者を肯定した。もちろんこの矛盾を切り抜ける
安価な妥協的思想もないことはない。実際彼は公衆に向ってこの煮え切らない調和説の背....
「星座」より 著者:有島武郎
ずだ。
渡瀬は計算用の原稿紙を一まとめにして懐ろにしまいこみながら、馬鈴薯から
安価な焼酎《しょうちゅう》と、そのころ恐ろしく高価なウ※スキーとが造りだされる化....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
こっけい》であり、かつ悲惨である。我々は何をそういう人々から聞き得るであろうか。
安価なる告白とか、空想上の懐疑とかいう批評のある所以《ゆえん》である。 田中喜....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
云った江戸児のお嬢さんに、一式の恩返し、二ツあっても上げたい命を、一ツ棄てるのは
安価いものよ。 お前さんにゃ気の毒だ。さぞ御迷惑でございましょう。」 と丁寧....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
的な立場からのみ考察されてはいなかったろうか。即ち生物学の自己保存の原則を極めて
安価に査定して、それを愛己の本能と結び付けたものではなかったろうか。「生物発達の....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
などという立看板を軒に掲げる。鶫うどん、鶫|蕎麦と蕎麦屋までが貼紙を張る。ただし
安価くない。何の椀、どの鉢に使っても、おん羮、おん小蓋の見識で。ぽっちり三臠、五....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
そこで何だ。途中で見たものの事を饒舌ったが、」 と民弥は、西片町のその住居で、
安価い竈を背負って立つ、所帯の相棒、すなわち梅次に仔細を語る。……会のあった明晩....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
に乗せられてその利器に触れたのだ。 「何て馬鹿らしい事だろう? 私はまあ叔父等の
安価な生活のたしにされたのだ――」 またじりじりしだした。――嫌な嫌なその叔父....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
うと悪く色気があります。何、こそこそと、鼠あるきに、行燈形の小な切籠燈の、就中、
安価なのを一枚細腕で引いて、梯子段の片暗がりを忍ぶように、この磴を隅の方から上っ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
同銀行蔵掃除について払下げに相成ったを、当商会において一手販売をする、抵当流れの
安価な煙草じゃ、喫んで芳ゅう、香味、口中に遍うしてしかしてそのいささかも脂が無い....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
一章は人生の問題に触れて居り、貴重なる教訓をわれ等に与うるものである。かの仏教の
安価なる一蓮托生説だの、基督教の一本調子な恋愛至上説だのは、僅かに真理の一部を掴....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
えた。この人物が、四十を過ぎて、まのあたり、艶異、妖変な事実にぶつかった――ちと
安価な広告じみますが、お許しを願って、その、直話をここに、記そうと思う。…… ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
せしめるばかりか、生涯のなぐさみにするのだもの、こちらは見切って大安売だ。千円は
安価いものだね。「それもそうじゃな。どれ、一つ杯を献そう。この処ちょいとお儀式だ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
ために非常に高価となり、人これを得ること難し。しかるに外国人日本に来たるときは、
安価にて買い入るることを得るをもって、その売りさばき方、従前に数倍すること。第二....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
のストライキまでありという。また、シドニーの電車賃市内一ペンス(わが四銭)なるは
安価なるも、メルボルンのケーブル車の三ペンス(わが十二銭)なるは高価なり。メルボ....