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安倍川
「安倍川〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安倍川の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
いる二軒のあべ川|餅屋《もちや》の前を通ると直ぐ川瀬の音に狭霧《さぎり》を立てて
安倍川が流れている。轍《わだち》に踏まれて躍る橋板の上を曳かれて行くと、夜行で寝....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と言います―― その元気だから、どうかこうか薬が利いて、一度なんざ、私と一所に
安倍川へ行って餅を食べて茶を喫んで帰った事もあったんですが、それがいいめを見せた....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
の宇津谷峠《うつのやとうげ》で出会ったのは、修行者だったからいいようなもの――。
安倍川《あべかわ》を西に越えると、右のほうにえんえんたる帯のような、山つづきが眺....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と思いて、或る晩、単物、帯も畳んで寝所に置いて、襦袢を着て、そのうちを逃げ出し、
安倍川の向うの地蔵堂にその晩は寝たが、翌日夜の明けないうちに起きて、むやみに上方....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、火をおこしますと、あんまりよくおこって勿体《もったい》ないものですから、これで
安倍川《あべかわ》をこしらえて、あなたに差上げようという気になったものですから、....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
人のよさそうな巡査はしかし取り合わず、弁当を恵んで、働くことを薦めてくれました。
安倍川の川さらいの仕事です。私はさっそくやってみましたが、何しろはじめは夢中にな....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
人形ばかりは見のがさない。 見物を目あての担売《にないう》り、茶店、けんどん、
安倍川餅、茶碗酒などが片がわに店を張り、白粉を塗った赤前垂の若い女が黄いろい声で....
「水垢を凝視す」より 著者:佐藤垢石
ているが、溯上の途中に立派な水垢を発見すれば、それに食い馴染む。興津川や酒匂川、
安倍川のように瀬が直ちに海へ注ぐ川は、川口にまで転石が磊々としている。それには必....
「水と骨」より 著者:佐藤垢石
い興味を持っているからである。 鮎は、水温の高い川に好んで棲む魚である。静岡の
安倍川や、小田原の酒匂川は、六月過ぎて水を水田へ引き上げる頃になると、川は枯れて....
「水の遍路」より 著者:佐藤垢石
たここの釣り舟は近年大した発達を示した。外洋では、大きな真鯛も釣れる。 静岡の
安倍川と藁科川。私は、ここでも鮎と共に幾年か過ごした。久能山に近い中島の海岸で、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、伊勢物語の歌の一つぐらい、知る者はいないのか」 ――ほどなく、峠も越えると、
安倍川の西だった。手越ヶ原の官道に添って、両側の並木を綴る賑やかな一駅は手越ノ宿....
「山の人生」より 著者:柳田国男
庄屋萩原氏にも宿泊し、かの家にも一枚あったがそれは紛失した。そうしてやはりのちに
安倍川の川原で、犬に喰殺されたと伝えられる。信州|下伊那郡|泰阜村の温田というと....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
布を織って木綿古着の上に着るということが、『駿河|志料』にも見えている。その外|
安倍川や藁科川の上流の村々では、一般にこの藤布が用いられていた。また大和の十津川....