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安心感
「安心感〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安心感の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
見上げて、五時を指している針を見た時、だから銀ちゃんは軽い後悔と共に、何か諦めた
安心感を感じたが、実は時計は故障で停っていたのだ。まだ三時半だった。間に合う。い....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
昆布の叢がゆれていた。その向側へ滑り落ちるようにして匐い込んだとき、彼はようやく
安心感を得た。それまでは、いつ背後から怪光線をあびせかけられるかと、気が気でなか....
「惜別」より 著者:太宰治
当時の私の無警戒は、不思議なような気もするが、しかし、正しい人というものは、何か
安心感を与えてくれるもののようである。私はもう、その清国留学生に、すっかり安心し....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
が組にいたが、私は彼女がとても好きになり――というのは、私の悪事を知らないという
安心感があったのであろうか――たった一人彼女を家へ招いた。歯ぎれのよい江戸っ子で....
「『井伏鱒二選集』後記」より 著者:太宰治
のである。もう誰が、どんなところから突いて来たって、この作家は大丈夫なのだという
安心感を得て、実に私は満足であった。 それ以来である。私は二十五年間、井伏さん....
「ヘヤーピン一本」より 著者:豊島与志雄
布団にはいった。 いつでもどこででも眠れるのが、俺の特技だ。その上、ほっとした
安心感もあった。すぐに眠った。 僅かの間だったようだ。俺たちはさっきの女中に起....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
ちよつとあちらの一品料理屋といふ感じで、コック場などもあちらのお客の潔癖に応じて
安心感を与へるやうに工夫がこらしてあるといふ心掛けである。沈思黙考の哲人たるもの....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
のではないのである。しかし、京都へ来たという実感の中には、そういう理窟を超越した
安心感があった。 「旅をすると気持が変るというのは、こんなことを云うのかしら」 ....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
と、仕事の責任は自分でもつが、身体の方は信頼できる先生に委せきった方がよい。その
安心感で、瑣末な心配は忘れられるし、これ以上はどうなっても仕方がないのさと覚悟も....
「女優の親」より 著者:岸田国士
、あゝよかつた。これだけ観客にわかつて、観客がついて来ればまア大丈夫だ。そういう
安心感のようなものを感じた。あれで観客が冷然と、あの舞台を観ているようだつたら、....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
、曇った空が上にあるばかりで、例の魔ものはここにいなかったので、とにかくひとつの
安心感、すなわち、現在のこのときと、のっぴきならぬ惨澹たる将来とのあいだに休戦が....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
になってしまったのか……」 外で米の飯が食べられる余裕があったのかという咄嗟の
安心感は、簡単に消えて、恥も外聞も見栄ももうこの国の人間は失ってしまったのかと情....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
の道徳――例えば修身の教科書の精神に裏づけられた言葉を、自己保存の本能から、ある
安心感をもって聴くことを好み、それ以外の奇矯に走った異色ある言葉には、一応眉をひ....
「夢幻泡影」より 著者:外村繁
い返すのである。不思議なことには、そういうとき聞く、時計の音というものは、一種の
安心感にも似た、懐しさを持っているものだ。 妻はまだ眠り続けているようだ。静か....
「オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
れあうのが感じられた。それと同時に、いままでのかすかな悔恨が、まあ好かったという
安心感にかわった。 時々時計に目をやりながら、彼はなにか仕事でもする時のような....