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「安気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

安気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
から。また処女に特有な嬌羞《はにかみ》というものをあたりさわりなく軟らげ崩して、安気な心持で彼と向い合うようにさせる術《すべ》をまったく知らなかったから。そして....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
とっては苦々しいことだった。その持論からいっても苦々しかったが、ひとつはなにか不安気な気持もあったのだ。 じつは、豹一は多鶴子が矢野を愛したということがどうに....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
時頃にお出掛けになりましたか?」 「さあ……」と夫人は蒼褪めて小首を傾げながら不安気な様子で、「いつの間に出掛けましたか……なんでも今朝の七時に主人の寝室に参り....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
いる夫婦二人のものは、自分の子供らを路頭に立たせまいとの願いから、夜一夜ろくろく安気に眠ったこともなかったほど働いた。 そのころ、本家の梅屋では隣村湯舟沢から....
」より 著者:島崎藤村
ながら御馳走を食べるよりかも、ここでお前と一緒にパンでも咬る方が、どんなにか私は安気なよ」 伊豆の方で豊世が見た時よりも、余程姑の容子に焦々したところが少なく....
」より 著者:島崎藤村
、これでお前も気が済んだずら……早く仕度をして帰るまいかや」 「ええ、田舎の方が安気で好い。兄さんや姉さんの傍に居られるだけは、東京も好いけれど――」とお仙は皆....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
た。夏の朝の太陽が、意地悪に底冷えのする石の肌をほんのりと温め和めていた。二人は安気にゆっくり腰を下ろして居られた。うむ、うむ、と逸作は、旨いものでも喰べる時の....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
と、「籠っている」感じで気持が好い。ことに段々と澄徹の境を離れるところにいかにも安気があった。 一夜明けて、写真機を持って出掛けた。なるほど、ブリガッハ川は直....
老夫婦」より 著者:黒島伝治
う。」 六 「あれに連れて行て貰うよりゃ、いっそうら等二人で行く方が安気でえいわい。」ある日じいさんはこう云い出した。 「道に迷やせんじゃろうかの。....
一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
間も見えないのですから」 「そう、そう云えば……」 と、痛みを忘れたように、不安気に眼を据え、 「あれ、何時だったろう。パドミーニは、食堂から出て、たしか……....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
られたが、つむっている両眼の下の眼瞼が、目立つほどにも痙攣を起こしているので、不安気な顔ともいうことができた。不意に紋也は眼をあけたが、その眼でお粂を睨むように....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
安全燈を発見した係長は、検屍も瓦斯検査もひとまず投げ出して事務所へとじこもり、不安気な様子で頭痛あたまを抱えていた。 係長は、しかし菊池技師の顔を見ると、幾分....
田螺」より 著者:北大路魯山人
弱しきっている私の口に、たにしの幾粒かが投げ入れられた。看護の者は眉をひそめ、不安気な面持ちで成り行きを見つめていた。 するとどうしたことか、ふしぎなことに、....
春泥」より 著者:久保田万太郎
せいなので、由良のまえには長くいず、すぐ奥へ行って御新造だのお嬢さんだのゝまえに安気な時間を送った。――御新造やお嬢さんはかれが贔負だった。 が、その後、御新....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
ない。白い服を着た巡査がただ退屈そうに立っている。どうみても東海道は戸塚あたりの安気な医者の住居位にしかみえない沢村宗十郎君の文化住宅(窓にすだれをかけたのがよ....