官能的[語句情報] »
官能的
「官能的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
官能的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「振動魔」より 著者:海野十三
を近付けると、彼女のふくよかな乳房と真赤な襦袢との狭い隙間から、ムッと咽ぶような
官能的な香気が、たち昇ってくるのだった。 柿丘秋郎が、こんな妖花に係るようにな....
「階段」より 著者:海野十三
い蹴出しが、遣瀬なく搦みつくのであった。歌麿からずっと後になって江戸浮世絵の最も
官能的描写に成功したあの一勇斎國芳の画いたアブナ絵が眼の前に生命を持って出現した....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
なるべく若い婦人の身近くを選んで座を占める。彼女の生ぐさい体臭や、胸を衝くような
官能的色彩に富んだ衣裳や、その下にムックリ盛りあがった肢態などは、日常|吾人の味....
「蠅男」より 著者:海野十三
、臭気漂う真只中に押しやっていたのだった。 それは一種|香ばしいような、そして
官能的なところもある悪臭だった。彼は歩いているうちに、臭気がたいへん濃く沈澱して....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
命です。生命の綱です。黒白二疋の鼠とは、夜昼です。五滴の蜂蜜とは、五欲の事です。
官能的欲望です。まことにひとたび、この巧妙な人生の譬喩を聞いたならば、波斯匿王な....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
せてふさふさと額に垂らしている。伏目につつましく控えている碧い神経質な鋭い目も、
官能的な桜桃色の唇も相当なものである。肌理の細かい女のような皮膚の下から綺麗な血....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
た人である。芭蕉の句の中で単に景物を詠じたような句でありながら非常になまなましい
官能的な実感のある句があるのは人の知るところであろう。これは彼の万象に対する感情....
「田丸先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
決して巧拙のできばえなどは問題にされなかった。 酒も煙草も甘いものもいっさいの
官能的享楽を顧みなかった先生は、謡曲でも西洋音楽でも決してそれがただの享楽のため....
「ニュース映画と新聞記事」より 著者:寺田寅彦
に関する新聞のいわゆる社会面記事はきわめて紋切り形の抽象的な記載であって、読者の
官能的印象的な連想を刺激するような実感的表象はほとんど絶無であると言ってもいい。....
「詩と官能」より 著者:寺田寅彦
ろいろの種類があって、抽象的精神的な要素の多い詩を作る人がある一方ではまた具象的
官能的な要素に富んだ詩に長じた人もあるようである。自分の見るところでは、俳人|芭....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
悪であり、苦悩である。 このゆえにちぎれちぎれの刹那に立って、個々の断片的なる
官能的経験を漁りつつ生活の倦怠より遁れんとする刹那主義者はしばらく措き、いやしく....
「二つの正月」より 著者:寺田寅彦
十年も昔のことで大概のことは忘れてしまっているうちにわずかに覚えていることが妙に
官能的なことばかりであるのに気が付く。 その頃の長崎にはロシアの東洋艦隊の勢力....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
本へ目を通した。この本は目次の第何章かに「恐しい四つの敵、――疑惑、恐怖、驕慢、
官能的欲望」と云う言葉を並べていた。僕はこう云う言葉を見るが早いか、一層反抗的精....
「文学座『夢を喰ふ女』を演出して」より 著者:岸田国士
なるだけ現代の人物の中の特殊なタイプにあてはめて、全体の人間群像の生活の中にある
官能的なものを強調するという方法によらねばならない。したがつて装置、衣装、メーキ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
も生れ、無限の不満を吐きだす反対者も生れるのである。 しかしながら、そのような
官能的な享受をしばらくやめて、『新古今集』のすぐれた歌人といわれる人たちの歌を、....