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「定着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

定着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
て、泛んでは消え、消えては泛ぶ心理の皺は、いや、意識の流れは、ズボンの皺のように定着していない。 だから、一行を不足ともいえず、千行を過とするわけにもいかない....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ない。 扉の右手には、朱丹・群青・黄土・緑青等の古代岩絵具の色調が、見事な色素定着法で現わされている、二人の冥界の獄卒が突っ立っていた。 右はアディソン病患....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
その一燈に当る開閉器は、階段の下にあるのだった。すると、それまで現われていた渋い定着が失われて、「腑分図」の全面には、眼の眩むような激しい眩耀が現われた。さらに....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
し者だ。油断のならない事だ。だがきゃつ、素人で幸いだて」 やがて現像を終えて、定着バットの中へ乾板を入れると、浅田はのそ/\暗室から出た。 岸本は掃除をすま....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
の) クリップ 二個(紙を抑える) フィキザチーフ Fixatif(仕上った画を定着する液) 吹き器(フィキザチーフを画面へ吹きつける) 食パン(食パンの軟きを....
飛騨の顔」より 著者:坂口安吾
いばかりでなくて、他の国から召しだされた税代りの奴隷や使丁もよく逃げたし、土地に定着している農民まで税が重いので公領から逃亡して、私領へ隠れたものです。タクミも....
三十歳」より 著者:坂口安吾
たとえばあの人は、私のことを、あなたは天才だからなどと言いながら、そんな見方に定着しない意地悪い鋭さで、無慙に現実的な観察を私の全部に行きとゞかせていたのだ。....
未来のために」より 著者:坂口安吾
し、まことの文学は、常に、眼が未来へ向けられ、むしろ、未来に対してのみ、その眼が定着せらるべきものだ。未来に向けて定着せられた眼が過去にレンズを合せた時に、始め....
安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
流、鞍馬念流、奥山念流なぞと諸国に念流を残し、最後に信州伊奈の浪合に一寺を造って定着し、ここで多くの門弟に剣を伝えた。この浪合で印可皆伝をうけたものが十四名あっ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
画じゃア、虚無僧が二人いりゃア、それでいいのさ。みんなが踊りまわって、同じ場所に定着する者のいない舞踏会てえものは、特定の時、誰がどこにいたかてえことは、殆んど....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
へあがってきた人です。そして参詣者は元来が山を住居としている人ですね。山へきても定着するのは、里の人の習慣ですよ。小屋の住人はたいがい児玉郡の百姓だった人たちで....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
びて後は特に密入国的な隠遁移住が多かったであろう。 つまり天皇家の祖神の最初の定着地点たるタカマガ原が日本のどこに当るか。それを考える前に、すでにそれ以前に日....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
サンが成り立ってはじめてその上に彩色されて行くのである。しかし、この色は絵画的な定着を目的とせず、音楽的な拡大性に漂うて行くものでなければならず、不安と混乱と複....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
の正しい極限では一切が虚無となる。一切が存在しなくなる。それは未来|永劫を一瞬に定着する詩人の凝視を形成する場所だ。真実の詩とはそこに生れるのだ。その虚無の場を....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
あるらしい。詩型にはその詩型独特の情趣が生れてくるので、和歌は宮廷の文字的詩歌に定着すると同時に、伝統の詩歌となった。ことに和魂漢才というように、和漢ということ....