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宜
「宜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
宜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
べつ》せずにはいられないであろう。が、僕にいわせれば、あらゆる結婚の形式はただ便
宜《べんぎ》に拠《よ》ったものである。一夫一妻の基督《キリスト》教徒は必ずしも異....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ございます」と説明した。それから指を噛《か》んでいた子供に「さあ、坊ちゃん、お時
宜《じぎ》なさい」と声をかけた。男の子は勿論《もちろん》玄鶴がお芳に生ませた文太....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
と云う事、そのほか日頃私の希望している東京遊学のごときも、結婚した暁には大いに便
宜があるだろうと云う事――そう事をいろいろ並べ立てて、根気よく私を説きました。こ....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
話を続けるのに熱中していた。
「和田のやつも女の前へ来ると、きっと嬉しそうに御時
宜《おじぎ》をしている。それがまたこう及び腰に、白い木馬に跨《またが》ったまま、....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ちょうどそこへはいってきたのはこの倶楽部《クラブ》の給仕です。給仕はゲエルにお時
宜《じぎ》をした後《のち》、朗読でもするようにこう言いました。
「お宅のお隣に火....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《ろうにゃくきせん》が集まっている所だけに、敵の手がかりを尋ねるのにも、何かと便
宜が多そうであった。そこで彼等はまず神田の裏町《うらまち》に仮の宿を定めてから甚....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
ると云う、まあ仲々の事業家なのです。そんな関係上、私も一二度稲見のために、ある便
宜を計ってやった事がありました。その礼心《れいごころ》だったのでしょう。稲見はあ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
前に来ると、これがお父さんの御墓だと教えた。が、彼はその前に立って、ちょいと御時
宜《おじぎ》をしただけだった。
「それでもう好いの?」
母は水を手向《たむ》け....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
れぬげに見え申した。されば、翁も心安う見参《げんざん》に入り、聴聞の御礼申そう便
宜を、得たのでござる。」
「何とな。」
道命阿闍梨《どうみょうあざり》は、不機....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
縁が近いような心もちが致して居りましたよ。」
何も知らない番頭は、しきりに御時
宜《おじぎ》を重ねながら、大喜びで帰りました。
医者は苦い顔をしたまま、その後....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
うべき、――しかし壮厳な我我の愚昧に依ったのである。
修身
道徳は便
宜の異名である。「左側通行」と似たものである。
*
道徳の与えたる恩恵....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
下げた事です。殊に一度なぞはある家の前に、鶏《とり》を追っていた女の児さえ、御時
宜《おじぎ》をしたではありませんか? わたしは勿論嬉しいと同時に、不思議にも思っ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
》の同情を表《ひょう》すると共に、賢明なる三菱《みつびし》当事者のために夫人の便
宜《べんぎ》を考慮するに吝《やぶさ》かならざらんことを切望するものなり。……」
....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
見送り、父はそれらに勇みを付けて笑いを作りて居られたれど、母はおろおろとして、「
宜いかエ周吉、気をお付けなさいよ、早く帰ってお出よ」と同じ言を繰り返されたり。予....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
に知り合いの出来たことは非常に都合が好く、自分の研究を大陸に知らせるにも非常な便
宜を得た。ことにフランスではアカデミー(Academie)の出来たてで、その会員....