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実母
「実母〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実母の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
花びらが皆なくなるまで、剛情に姉と一本の花簪を奪い合った。しかし頭のどこかには、
実母のない姉の心もちが不思議なくらい鮮《あざやか》に映《うつ》っているような気が....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
子に孫に、或いはその孫に……。」氏はここまで云って口をつぐんで仕舞った。私は氏の
実母が発狂者であることを、ひそかに知って居たので、粛然として氏の言葉を聞いた。だ....
「恭三の父」より 著者:加能作次郎
言うことがあるのであった。それは多くの場合母に対する義理からであった。母は恭三の
実母ではない。だからこの場合に於ても実子の浅七がこうして父の足を洗って居るのに、....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
、お清さんと呼び、確か重明が十か十一の年までまめ/\しく仕えていた所の女が、彼の
実母であったのだ! 野村の脳裡には、蒼醒めた顔をして、言葉少なに、然し、重明を....
「呉秀三先生」より 著者:斎藤茂吉
起する。その古本屋は今は西洋|鞄鋪(旅行用鞄製造販売)になり、その隣は薬湯(人参
実母散薬湯稲川楼)になっている。『精神啓微』は呉先生がいまだ大学生であったころに....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
五兵衛の女房アツ子は大名華族の娘で二十七、後妻である。云うまでもなく、お梨江の
実母ではない。
実母はお梨江と兄の満太郎をのこして病死している。満太郎はケンブリッ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
娘であるが、胸の病があるので、向島の寮に女中を二人つけて養生にやっている。アヤの
実母は三年前に死んで、柳橋で芸者をしていた妾のお槙をひきいれて、土蔵につづく離れ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
忘れかも知れないが、わたしがお前の生みの親だよ。母親だよ。お常だよ。」 鶴見の
実母はお常といった。 彼はその名を胸の奥の心の臓にきざみつけて、一生を守りどお....
「火の扉」より 著者:岸田国士
の十日に、H村へ落ちつき、平凡な主婦の修業にはいります。市ノ瀬の母は、わたくしの
実母とちがい、まことに感情のこまやかな、いじらしいところのあるひとで、これはもう....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
を地下に瞑せしむるのてあいは二言目には女で食うといえど女で食うは禽語楼のいわゆる
実母散と清婦湯他は一度女に食われて後のことなり俊雄は冬吉の家へ転げ込み白昼そこに....
「頭蓋骨の秘密」より 著者:小酒井不木
会ってきましょう」 栄吉には兄弟が五人あって、やはりお父さんはなく、お母さんは
実母でしたが、栄吉が不良少年になったのも、富三のおかげであるとて、たいへん富三を....
「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
となり、爾来七年の間その家に養われ、今年まさに十八歳になれり。しかるに、近年その
実母、小形山を去りて駒橋と称する所に移り、ここに一家を借りて住す。駒橋は大目村よ....
「娘」より 著者:岡本かの子
である蓑吉は、乳離れするころ、郊外の妾の家から通油町の本宅へ引取られた。蓑吉は、
実母である妾のお咲が時折実家へ来て「坊ちゃん」と云って自分に侍いても、
実母とはう....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
まま大事に預って置く。それともう一つ、こういう気持ちが肝腎だ。なにしろその娘は、
実母のない孤児なのだ。孤児といえば女の身として誰でも同情が湧く。あなたは、その娘....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
その男の話を聞いていた。 「私と弟とは二人きりの兄弟ですが、母|異いで、弟は私の
実母が死んだ後に来た母に生れたのです。 今考えると継母と継母の実兄、つまり私の....