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実父
「実父〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実父の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
母の命日は十一月二十八日である。又戒名は帰命院妙乗日進大姉である。僕はその癖僕の
実父の命日や戒名を覚えていない。それは多分十一の僕には命日や戒名を覚えることも誇....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
小娘ながら水際立って鮮やかなものであった。わたくしが褒めると、「なにせ、この子の
実父というのが少しは名の知れた舞踊家ですから」と姐さん芸妓は洩した。すると、かの....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
…」ジナイーダは唇を歪めて、まず父親の死に冷たい嘲りの色を現わした。 「でも、御
実父なのでしょう?」 「ところが、養父でございます。両親を一時に失った私ども二人....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ったが、とうとう頼むと云ったものである。 卜伝塚原義勝は、常陸国塚原の産、その
実父は土佐守といい塚原城の城主であった。 下総の飯篠長威斎に天真正伝神道流を学....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ならぬ。さて私は死に臨んでお前の身上にかかっているある秘密の片鱗を示そう。お前の
実父は飯田の家中南条右近とはなっているが、しかし誠はそうではない。お前の実の両親....
「入梅」より 著者:久坂葉子
留守を、六つになるたったひとりの男の子行雄と共にどうにか生きて来たのだった。私の
実父母も、とうに死んでおり、親類というほどの人もなく私にとってそれは気楽だという....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
) 「痛い!」 と松乃は思わず悲鳴をあげた。耳の痛みが烈しくなったからである。
実父の将左衛門から、久しく逢わないから逢いたい、婿殿ともども逢いに来るようにと伝....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
行きとして、あやめと一緒に住むようになった。 「おりを見て荏原屋敷へ忍び入り、お
実父様の敵を討たなければ……」 あやめとしてはこういう心持から、又、一方主税と....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
らじっと様子を眺めていたが、心の中では嘲笑っていた。 「素性も知れぬ乞食爺を俺の
実父と思い込み磔刑沙汰とは笑止千万、お陰で計略図に当たり、ますます俺は須々木豊前....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
込んで行く頼母の姿が見えた。 頼母の声が響いた。 「彼は五味左門と申し、拙者の
実父忠右衛門を討ち取りましたる者、本日巡り逢いましたを幸い、復讐いたしたき所存…....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
僧の噂などが出た。 そこへあたかも来あわせたのは、かの鈴木有年であった。有年は
実父の喪中であったが、馬琴が今夜ここへ招かれて来るということを知っていて、食事の....
「反省の文学源氏物語」より 著者:折口信夫
手もとに置きたいと言うほのかな恋心も湧いて来る。若し宮中へさし上げる段になれば、
実父に打ち明けねばならぬのだが、其も何となく気の進まぬ事である。そうした心の定ま....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
十一歳七カ月です。その間に帰郷したのは幾度でもありませんでした。その頃病弱だった
実父が亡くなりました。卒業後すぐに洋行、帰朝して教授というようなわけでした。母は....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
の御所から尋ね出して定家に交付した翌月、十一月頃に定家自ら九条家に赴いて道家・教
実父子に草本を示したところ、用捨の事ありというので、百首あまり切り棄てられた。そ....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
命、それは余りにも惨しいものであった、彼女は胸が痛くなるような気持ちがした。――
実父は母を殺して牢死し、いままた養父は非業の最後をとげている、稀れにみる美貌の孤....