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「実相〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

実相の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
していたかも知れないとは名高いパスカルの警句である。しかし恋人と云うものは滅多に実相を見るものではない。いや、我我の自己|欺瞞《ぎまん》は一たび恋愛に陥ったが最....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
その次になって、貴方の口から吐かれた高代という言葉になると、とうていこのほうは、実相に近い仮説を組みあげることはできませんでした。私が執心に執心をかさねて、やっ....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
がないといったら、君はさだめし不審に思うだろう。けれども、それが微塵も偽りのない実相なので、事実河竹に杏丸という二人の助手以外には、この私でさえも入ることを許さ....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
のだ。だが本記者は、同業水戸記者の協力を得て、これより最大の努力を払って本事件の実相を掘りあて、刻々報道したいと思う”なるほど、これは上出来だ」 「ほめるのは後....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「ちょいと、大変……。あたし、本当にびっくりしてしまった」 女は、この町内の実相寺門前に住む常磐津の師匠文字吉で、なんの願があるか知らないが、早朝に熊野さま....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
て、私たちは尊敬に近い同情をすらささげねばならぬ悲しい人生の事実だ。あるがままの実相だ。 パンのために精力のあらん限りを用い尽くさねばならぬ十年――それは短い....
三人の双生児」より 著者:海野十三
れど、彼女は別に高ぶる様子もなく、妾の故郷だという四国の安宅村へ、三人の双生児の実相を確めるために発足するといって辞し去った。妾は狐に鼻をつままれたように、女史....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
われ、幾度か転々。或は生ける屍となり、或は又断腸の想いに男泣きに泣く。而も敗戦の実相は未だ展開し尽されしにあらず、更に来るべき年へ延びんとす。生きることの難しさ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
レヴェズさん、そうして伸子の嘘を訂正してゆくうちに、ふと僕は、当時あの室に起った実相を描き出すことが出来ました。と云うのは、伸子が『聖ウルスラ記』を取り出そうと....
心臓盗難」より 著者:海野十三
。そしてこの第三関係の深刻の程度は、他の二つの関係によって決まる。この三角関係の実相調査こそ、本事件を解くの正道だと考えた袋探偵は、隠しておいた無音オートバイに....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
子を待っているようなことは断じてない。永遠の向上、永遠の進歩、これが死後の世界の実相である。 従って各自の行動を支配するものは、不可犯の法則である。善行は魂の....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
君の亡霊姿を見て、それを九十郎と信じたのは、まさに偽りではない。が、さりとてまた実相でもなく、実は幡江の錯覚が、起した幻に過ぎないのです。と云うのは心理学上の術....
瘠我慢の説」より 著者:榎本武揚
容度候。 榎本武揚氏の答書 拝復。過日|御示被下候貴著|瘠我慢中、事実相違之廉並に小生之所見もあらば云々との御意致拝承候。昨今|別而多忙に付いずれ其....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
以上のもののあること、それらを体験的に弁えた人であるが故に、我執も除かれ、万事、実相に明らかな眼で誰人とも応酬出来る。そこを「話が判る」と言ったのでしょう。私は....
民族の感歎」より 著者:折口信夫
った。私をこわがらせる――こうした空虚を具相する心、此人の心を俟って具相し得た真実相が、茲にはあったことを言っておきたいのである。 日本人が尊び馴れて来た観念....