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宥める
「宥める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
宥めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河明り」より 著者:岡本かの子
で、運賃も廉くしたので、菱垣船は大打撃を蒙った。話のうちにも老主人は時々神経痛を
宥めるらしい妙な臭いの巻煙草を喫った。 「寛永時分からあった菱垣廻船の船問屋で残....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
も咬み合わして置いて何かの間違いが出来てはならないと思ったのでしょう。藤崎さんを
宥めるように連れ出して、別の土間へ引越させることにしました。ほかの割込みのお客と....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
るから」 少し薬が利き過ぎたので、岸本は相槌の打ちように困って終った。 彼は
宥めるように云った。 「おかみさん、大丈夫ですよ。先生に限ってそんな事があるもん....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
悪になって、唇をブル/\と顫わせているのに気がついた。僕は了ったと思って、幾分|
宥めるつもりで、 「然し――」 といいかけたが、時既に遅かった。 二川の癇癪....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
。たべたい物などは、うちのおじさまにも云えば買ってきてくれますし」 こう急いで
宥めると、とよ子は思いのほかきれいに涙を収めてくれた。 私たちの室とちがって、....
「小公女」より 著者:菊池寛
カル夫人の学校にいた子が、あなたの捜している娘だとすると――」カアマイクル氏は、
宥めるようにいいました。 「あの子は、何不自由なく暮しているはずですね。そのロシ....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
醒めたように、警部補になじりかかった。しかし江藤警部補は、いきまく部下を、優しく
宥めるように見て、 「なるほど、事情を知らん君は、そう思うだろうがね。いまの男を....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
れを烈しくぶるぶる震えながら彼の手を握っている懇願するような指の上に重ねながら、
宥めるような調子で言った。――「どうぞお気を鎮めて下さい、――これは事務なんです....
「決闘」より 著者:神西清
連中は不信仰者ではある。が、いい人たちだから救われるに違いない』と彼は自分の心を
宥めるのだった。「きっと救われるだろう!」と煙草に火をつけながら、声に出して言っ....
「或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
。」 湯沢医師が、住まいの方から、盆の上に二本の徳利を載せて来た。そして平三を
宥めるようにして言うのだった。 「平三さん。悪いことは言わねえ。さあ、このお神酒....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
。何れ私からも委しいお話を為ますから……。」 差当り斯んなことを云って、冬子を
宥めるより他は無かった。冬子も何時まで憤っても居られないので、解けぬ疑惑を懐いた....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
歩み去った。 そのような瞬間は、みんなが困る。しかしエセックスは、女王の焦燥を
宥める手を心得ていた。とろりと御機嫌のいいときに伯爵はついに女王を説き伏せて、特....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
相手欲しやの酔いどれ士は、忽ち目くじら立てて立ち上り、掴みかかろうとする。それを
宥める者、よき機会と撲ち伏せて先程からの不愉快の腹癒せをしようとする者、中間に立....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の時己の胸の底の
秘密な、深い奇蹟が暴露する。
そして己の目の前に清い月影が己を
宥めるように
差し升って来る時、岩の壁から、
湿った草叢から、前世界の
白金の形....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
だって、君……」 「はッきりそうとまだ決ったこっちゃァねえんだ。」小倉はしずかに
宥めるように「たゞそういう気配が俺たちには察しられるんだ。――橙のかずをよけいく....