害悪[語句情報] » 害悪

「害悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

害悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
肉体的苦痛というものはだいぶ人間を不安にするものだ。地上のいちばん大きな直接な害悪だ。多くの人間はこの害悪を避けるためには、魂の安否を忘れてしまうほどだ。人間....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
んだものはほかならぬ敬虔の社会的強制そのものなのだ。――要するに類似宗教の一切の害悪は、現代における一切の宗教主義の単なるカリケチュアに帰するにほかならない。だ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
主観と貧弱なる周囲とがもたらす生命の沈滞荒廃よりもわれらにとっていっそう切実なる害悪であり、苦悩である。 このゆえにちぎれちぎれの刹那に立って、個々の断片的な....
社会時評」より 著者:戸坂潤
まだ殆んど一人も、本当に共産党員のために苦しめられた人間はいないらしく、共産党の害悪に就いては、よ程熱心に話をきき不審を克服しない限り飲み込めないものがあるので....
再び科学的精神について」より 著者:戸坂潤
一人前であるとは保証出来ないのだから、もっと正確に云うと、科学的精神の欠乏が最も害悪を流しつつあるのは社会・文化・の世界に於てであると云った方がいいかも知れぬ。....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
い状態であった。放埒《ほうらつ》きわまりなく、しかもその淫欲のためにはしばしば、害悪な虫けらのように残忍非道なことをしてのけるフョードル・パーヴロヴィッチが、と....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
日《あした》は、明日は、その力が復讐《ふくしゅう》してくれるであろう! あらゆる害悪を復讐し、あらゆる不正を復讐し、悪人を罰し、大事をなさんがために、彼は生きた....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
しい眼と言葉とをもってすれば、それを見出すのは訳もなかった。善を施すとともにまた害悪をなす術においても、男よりずっとすぐれている女特有の残忍な本能から、彼女はザ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
なければならない。 私は孤立していた。フランスにおける多くの人々と同様に、私は害悪な精神界に窒息しかけていた。私は呼吸したかった。不健全な文明にたいして、偽り....
在学理由」より 著者:豊島与志雄
卓子を打叩かんばかりの勢だった。その後の議論を、茲に要約すれば――。 世の中の害悪はただ習慣だけだ。習慣だけが人をずるずる引崩す。習慣でないものは、凡て新鮮で....
貞操問答」より 著者:菊池寛
な誤りを訂正して下さる利益と、親の云うことにも間違いがあるという観念を植えつける害悪と、差し引きが付くものでしょうかしら……」それは、思いがけない鶴の一声だった....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
では、犯罪のために、もっとも蔑しい動物以下に堕落してしまった。どんな罪も、どんな害悪も、どんな不幸も、おれのばあいとは比べものにならない。おれの罪悪の恐ろしい目....
地上」より 著者:島田清次郎
は「貧乏」に苦しめられることが、現実的に政治家となって多くの人間の「貧」の苦痛と害悪を除かずにはおかないという内面的論理を踏むのであった。常に平一郎の熱した理想....
新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
めの肉体上及び精神上の休養でなければならない。 なまけ者の理知にすら往々多くの害悪を及ぼすデカダン芸術の最後の所産を民衆に与える事は出来ない。又、選ばれた人々....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
なりとせらるる部分は祈祷である。彼らの信仰によると病気は大抵悪魔、厄鬼、死霊等の害悪を加うるによるものであるから、まず祈祷の秘密法によって悪癘を払わなくては、た....