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「宵の明星〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

宵の明星の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幻影の盾」より 著者:夏目漱石
》み込んだ様な時刻に、白城の刎橋《はねばし》の上に騎馬の侍が一人あらわれる。……宵の明星が本丸の櫓《やぐら》の北角にピカと見え初《そ》むる時、遠き方より又|蹄《....
新生」より 著者:島崎藤村
うふん》するばかりで僅に東京の留守宅へ宛てた手紙を書くに止《とど》めてしまった。宵の明星の姿が窓の外の空にあった。時々その一点の星の光を見ようとして窓側《まどぎ....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
道は一二年を要する。また二年を要する火星水星、それから太陽の侍女としてあるときは宵の明星あるときは暁の明星として輝くかの美しい金星などは何のためであるか。その上....
丹下左膳」より 著者:林不忘
をおたずねなら、お会わせ申すはわけのないこと。日が暮れますと、あの太郎山の頂上に宵の明星がピカリ、ピカアリと光りまするナ……」 「オイオイ、よせよせ」 「そもそ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
漁師の家の裏口から首尾よく忍び出てしまいました。 家を駈け出すと浜辺の広い原、宵の明星《みょうじょう》が高く天神山というのから東へ外《はず》れて光っている。ま....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
列ねたように旱の焔で取巻いた。夜叉ヶ池へも映るらしい。ちょうどその水の上あたり、宵の明星の色さえ赤い。……なかなか雨らしい影もないな。 百合 ……その竜が棲む、....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
縮めながら首を伸ばし、 「漆で塗ったようだ、ぼっと霧のかかった処は研出しだね。」宵の明星が晃然と蒼い。 「あの山裾が、左の方へ入江のように拡がって、ほんのり奥に....
初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
夜景が現われる。ここで若い靴磨きが変な街路詩人の詩を口ずさみ三等席の頭上あたりの宵の明星を指さして夕刊娘の淡い恋心にささやかな漣を立てる。バーからひびくレコード....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
ン、なんだって意気銷沈して悲しんでいるんだ!」まったく私は、陰気な考えにふけり、宵の明星の沈むのも、ライン河に映える金色の日の光も見なかった。――だから、私の回....
「心理試験」序」より 著者:小酒井不木
とは、随分熟し方ののろい機運であったといわねばならない。しかし、この明星をかりに宵の明星とすれば、追々その他の星のあらわれてくる機運となったと見ることも出来る。....
しゃもじ(杓子)」より 著者:佐藤垢石
いか。 永き夏の陽も、西に没して空の茜色も消え去り、行く手のほの暗い東天低く、宵の明星がきらめき光っている。鬱蒼と茂る桑畑の路に歩を進めると、ここはもう淡暗だ....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
れ帰路についたのであった。 さしもの雨も残りなく晴れ渡って、軒の雫《しずく》に宵の明星《みょうじょう》がきらめいていた。月の出にも間があり、人の顔がぼんやり見....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
たが、無論、日の暮れて間も無く、この火星は東の天に、しかして更に西の天にはかの「宵の明星」と知られている金星が現われた。 アア金星、アア火星、双方ともに今までに....
すみだ川」より 著者:永井荷風
空は鏡のように明《あかる》いのでそれを遮《さえぎ》る堤と木立はますます黒く、星は宵の明星の唯《たっ》た一つ見えるばかりでその他《た》は尽《ことごと》く余りに明い....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
わたしどうかすると随分ひどい所に寝るのだから。 はやとり ここに鋼鉄で宵の明星が拵えてある。 己はとうからこんな物が欲しかったのだ。 はやえ ....