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家禄
「家禄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
家禄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
装い、りっぱなお血筋の江戸錦様を巧みに放逐いたしましたうえ、まんまと旗本五百石の
家禄《かろく》を横領してしまいなされました。なれども、首尾よく主家横領はいたしま....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
彼はその笛をかかえて屋敷を出奔した。一管の笛に対する執着のために、彼は先祖伝来の
家禄を捨てたのである。 むかしと違って、そのころの諸大名はいずれも内証が逼迫し....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の社の空地などに屯集して野宿するさまは物すごいとさえ言わるる。紀州はじめ諸藩士の
家禄は削減せられ、国札の流用はくふうせられ、当百銭(天保銭)の鋳造許可を請う藩が....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
、上官と反りが合わず、官に頼って事を為すは駄目と見限りをつけて、阿波徳島に帰り、
家禄を奉還して、開業医の生活を始めたのが、明治五年であった。爾来こゝに、孜々とし....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
してね、そのなかでわたくしは産をいたしますし、何が何やらもう夢のようで、それから
家禄はなくなる、家財はとられますし、私は姑と年寄りの僕を一人連れましてね、当歳の....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
斯ういう職業を賤視する人たちの祖先たる武士というものも亦一つの職業であって封建の
家禄世襲制度の恩沢を蒙むって此の武士という職業が維持せられたればこそ日本の大道楽....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
坂に戦死、市郎左衛門に至り徳川氏に仕えて天正三年岡崎に移る――十八年江戸に移る、
家禄知行蔵米合わせて四十一石、か」
家禄知行蔵米合わせて四十一石、というところ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
れなければいいが。」 と呟《つぶ》やいた。彼の周囲のものも、僅少《きんしょう》な
家禄《かろく》放還金をみんな老爺さんの硫黄熱のために失われてしまっているのだとい....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
。扶持《ふち》に離れた士族は目なし鳥だった。狡《こす》いものには賺《だま》され、
家禄放還金の公債も捲《ま》きあげられ、家財を売り食《ぐい》したり、娘を売ったり、....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
った。その頃の藩士の生活は、国もとの方でも藩邸でも極めて質素なもので、そうせねば
家禄では足りなかった。 かくの如く十年間に唯一回の大芝居見物でも、家族は非常に....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
の家財は一物も満足なのはなく、一緒にして鞄《かばん》へ入れておいてもらった両家の
家禄奉還金《かろくほうかんきん》の書類も灰になってしまっていた。....
「大橋須磨子」より 著者:長谷川時雨
も交ぜた。おさないものは稚児髷《ちごまげ》の小性《こしょう》ぶりにしてしたてた。
家禄を返還した士族――旗本上りも、諸藩の家人《けにん》も馴《な》れない時世に口を....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
大名の家来によき役儀を勤むる者あれば、その家に銭のできるは何ゆえぞ。定まりたる
家禄と定まりたる役料にて一銭の余財も入るべき理なし。しかるに出入《しゅつにゅう》....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
めてしまって、これから先きどうでも一本立ちにならねばならない場合であった。親代々
家禄で衣食した士族|出の官吏の家では官吏を最上の階級とし、官吏と名が附けば腰弁で....
「志士と経済」より 著者:服部之総
して尊攘の機を掴もうといういわゆる要駕策決行のため、門人野村|和作《わさく》が、
家禄を売って二十両を得、これを旅費として脱走するのにはなむけた詩である。この詩を....