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「宿り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

宿りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
良夜」より 著者:饗庭篁村
で来たり。明日は馬車にてまっしぐら東京へ乗り込むべしと思えば心に勇みを持ち、この宿りにては風呂へ入りしが棚へ脱ぎたる衣類の間には彼の三十円あれば、据風呂の中へ入....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
《とうほうがん》の屋敷を、表から襲った偸盗《ちゅうとう》の一群は、中門の右左、車宿りの内外《うちそと》から、思いもかけず射出した矢に、まず肝を破られた。まっさき....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
極めてかけ離れた考え方から起った危険な誤解だといわなければならぬ。愛は優しい心に宿り易くはある。然し愛そのものは優しいものではない。それは烈しい容赦のない力だ。....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
たりける。 「はははは、お言葉には及びません、饂飩屋さんで泊めるものは、醤油の雨宿りか、鰹節の行者だろう。」 と呵々と一人で笑った。 「お師匠さん、一つお酌さ....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
しまして、その功力測るべからずと信ずるのである。乃至一草一木の裡、あるいは鬼神力宿り、あるいは観音力宿る。必ずしも白蓮に観音立ち給い、必ずしも紫陽花に鬼神隠ると....
婦系図」より 著者:泉鏡花
はあやしい、と早瀬は四辺を※したが――後で知れた――留守中は、実家の抱車夫が夜|宿りに来て、昼はその女房が来ていたので。昼飯の時に分ったのでは、客へ馳走は、残ら....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
志、その後姿も、尊いほどに偲ばれます。――折からのざんざ降で、一人旅の山道に、雨宿りをする蔭もない。……ただ松の下で、行李を解いて、雨合羽を引絡ううちも、袖を絞....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
頭をコンとお見舞申そうと思ったりゃ、もう、すっこ抜けて、坂の中途の樫の木の下に雨宿りと澄ましてけつかる。 川端へ着くと、薄らと月が出たよ。大川はいつもより幅が....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
ないのでありました。 ただ一夜、徒らに、思出の武生の町に宿っても構わない。が、宿りつつ、そこに虎杖の里を彼方に視て、心も足も運べない時の儚さにはなお堪えられま....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
から内を出て、随分|遠路を掛けた男は、不思議に遥々と旅をして、広野の堂に、一人雨宿りをしたような気がして、里懐かしさ、人恋しさに堪えやらぬ。 「訪ねてみようか、....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
に女の叫声を聞くことは、珍しからず。 佐々木氏の祖父の弟、白望に茸を採りに行きて宿りし夜、谷を隔てたるあなたの大なる森林の前を横ぎりて女の走り行くを見たり。中空....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
った。 ばたん、と扉の開いた音。 二人が揃って、蚊帳の中を廊下際で、並んで雨宿りをする姿で立った処へ、今度は静に悠々と取って返す。 「どうした。」 「鼈だ。....
雪柳」より 著者:泉鏡花
青い褄、白い足袋まで、雨明りというのに、濡々と鮮明した。 「傘では凌げません、雨宿りに、この中へ消えましょう。」 と、その姿で……ここは暗闇だ。お聞きになるあ....
妖術」より 著者:泉鏡花
仁も、蹲んだり立ったりして、色気のない大欠伸を、ああとする茜の新姐も、まんざら雨宿りばかりとは見えなかった。が、綺麗な姉様を待飽倦んだそうで、どやどやと横手の壇....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
告ぐるのであった。 三 一時の急を免れた避難は、人も家畜も一夜の宿りがようやくの事であった。自分は知人|某氏を両国に訪うて第二の避難を謀った。侠....