宿帳[語句情報] »
宿帳
「宿帳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
宿帳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
疲れたろう、寝《やす》んでくれ給え」岡村はそういって、宿屋の帳附けが旅客の姓名を
宿帳へ記入し、跡でお愛想に少許り世間話をして立去るような調子に去って終った。 ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
治六さん。しばらく見えなさらなかったね。どうかしなすったか」と、帳場にいる亭主が
宿帳をつけている筆をおいて訊いた。 「はい。少し風邪《かぜ》を引きまして、つい御....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
でございまして、これが柳橋の蓑吉さんという姐さんだったことが、後に分かりました。
宿帳の方はお艶様でございます。 その御婦人を、旦那――帳場で、このお座敷へ御案....
「蠅男」より 著者:海野十三
んな莫迦莫迦しいことがあってたまるものではない。 そこで帆村は窮余の策として、
宿帳を見せて貰った。目下の逗留客は、全部で十組であった。男が十三人に、女が六人だ....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
ほかの下宿人でも、ほとんど顔を見合したことがなかった。二日経っても三日経っても、
宿帳も持って来なければ、名刺をくれとも言って来ない。僕は呑気なもんだなと思いなが....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
客は膝をきめて居直ったのである。 四 渠は稲田雪次郎と言う――
宿帳の上を更めて名を言った。画家である。いくたびも生死の境にさまよいながら、今年....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
。行年その時六十歳を、三つと刻んだはおかしいが、数え年のサバを算んで、私が代理に
宿帳をつける時は、天地人とか何んとか言って、禅の問答をするように、指を三本、ひょ....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
だか、その宿の隠居夫婦が、よく昔の事を知っていました。もの珍らしいからでしょう、
宿帳の田沢だけで、もう、ちっとでも片原に縁があるだろう、といいましてね。 そん....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
に、その美を擁護するかのごとくである。 岐阜県××町、――里見稲子、二十七、と
宿帳に控えたが、あえて誌すまでもない、岐阜の病院の里見といえば、家族雇人一同神の....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
八で、色の白い、身なりの小綺麗な、いかにも外交員タイプの如才のない男で、おそらく
宿帳でも繰って私の姓名や身分を知ったのであろう、朝晩に廊下などで顔を見合せると、....
「山椒魚」より 著者:岡本綺堂
、ひとりは水島というのです。」と、通信員はまた教えてくれた。「どっちも同い年で、
宿帳には二十二歳としるしてありました。二人とも徒歩で木曾街道を旅行して、それから....
「山吹」より 著者:泉鏡花
、頭を振向く)あの、蓮葉にしめて、「後生、内証だよ。」と堅く口止をしました上で、
宿帳のお名のすぐあとへ……あの、申訳はありませんが、おなじくと…… 画家 (微に....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
当国へは昨夜ついた。 八郎の勤めというのも、その身の上も、私が説明をするより
宿帳を見れば簡単に直ぐ分る。旅店で……どちらもはじめてだが、とにかく嚮導だから…....
「活人形」より 著者:泉鏡花
布ぐるみ、時計の金鎖胸にきらきら、赤城というはこの者ならんと泰助は帳場に行きて、
宿帳を検すれば、明かに赤城得三とありけり。(度胸の据った悪党だ、)と泰助は心に思....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
す。何しろ、このお客さんはお昼飯頃に着いて、夕方にはもう冷たくなっていたんでね。
宿帳をつけてもらう間もなかったんですの。身許がよく判明しないので困ってるんですよ....