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寂し
「寂し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寂しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
》、向うへ歩いて行《ゆ》く少年の姿。少年はちょっとふり返って見る。前よりもさらに
寂しい表情。少年はだんだん小さくなって行く。そこへ向うに立っていた、背《せ》の低....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
うじゃないか? なぜ別れたと訊《き》いて見ても、返事らしい返事は何もしない。ただ
寂しそうに笑いながら、もともとわたしはあの人のように、風流人《ふうりゅうじん》じ....
「影」より 著者:芥川竜之介
の上に、紅茶の道具を片づけている召使いの老女の言葉であった。
「ああ、今夜もまた
寂しいわね。」
「せめて奥様が御病気でないと、心丈夫でございますけれども――」
....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
は思われない、不可思議な魅力《みりょく》を添えるようだった。
オルガンティノは
寂しそうに、砂の赤い小径《こみち》を歩きながら、ぼんやり追憶に耽っていた。羅馬《....
「河童」より 著者:芥川竜之介
う》の言葉」を読み飽きましたから、哲学者のマッグを尋ねに出かけました。するとある
寂しい町の角《かど》に蚊のようにやせた河童《かっぱ》が一匹、ぼんやり壁によりかか....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
にほんばし》を渡る時でも、結局彼等の敵打《かたきうち》は徒労に終ってしまいそうな
寂しさに沈み勝ちであった。
その内に筑波颪《つくばおろ》しがだんだん寒さを加え....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
う真実を知るはずはない。彼等は息を引きとった後《のち》も、釈迦の教を信じている。
寂しい墓原《はかはら》の松のかげに、末は「いんへるの」に堕《お》ちるのも知らず、....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
はない。保吉は現に売店の猫が二三日行くえを晦《くら》ました時にも、全然変りのない
寂しさを感じた。もし鎮守府司令長官も頓死《とんし》か何か遂げたとすれば、――この....
「女」より 著者:芥川竜之介
た。
しかしその円頂閣《ドオム》の窓の前には、影のごとく痩《や》せた母蜘蛛が、
寂しそうに独り蹲《うずくま》っていた。のみならずそれはいつまで経っても、脚一つ動....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
るのを意識した。このかすかな梅の匂につれて、冴《さえ》返る心の底へしみ透って来る
寂しさは、この云いようのない
寂しさは、一体どこから来るのであろう。――内蔵助は、....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
んにち》と云う記憶はあっても、何曜日かは終始忘れている。――それがふと彼の心に、
寂しい気もちを与えたのだった。その上もう一月すると、ほとんど受ける気のしない入学....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
を愛していたと考えるようになるのですね。好《い》いですか? 妙子を囲んでいるのは
寂しい漢口《ハンカオ》の風景ですよ。あの唐《とう》の崔※《さいこう》の詩に「晴川....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
《おそ》れるようにそのたびにきっと飛び上った。こう言う彼等の戯《たわむ》れはこの
寂しい残暑の渚と不調和に感ずるほど花やかに見えた。それは実際人間よりも蝶《ちょう....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
ふと相手に気がついて見ると、恵蓮はいつか窓際に行って、丁度明いていた硝子窓から、
寂しい往来を眺めているのです。 「何を見ているんだえ?」 恵蓮は愈色を失って、....
「狂女」より 著者:秋田滋
かった謎がすらすらと解けていった。兵士たちは、あの女を蒲団に寝かせたまま、寒い、
寂しい森のなかに捨てたのだ。おのれの固定観念に固執して、彼女は、厚くて軽い雪の蒲....