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寄せる
「寄せる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寄せるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門の後に」より 著者:芥川竜之介
が、そうならなくとも亦《また》必ずしも満足でない事はない。敢《あえ》て同人に語を
寄せる所以《ゆえん》である。
大正六年五月
芥川龍之介....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
しんでいるか?――そんな事に心が惹《ひ》かれたのです。
襖《ふすま》の外に身を
寄せるが早いか、わたしの耳には思った通り、釜《かま》のたぎりがはいりました。が、....
「河童」より 著者:芥川竜之介
も皆好奇心を持っていましたから、毎日血圧を調べてもらいに、わざわざチャックを呼び
寄せるゲエルという硝子《ガラス》会社の社長などもやはりこの部屋へ顔を出したもので....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
頷《うなず》いたぎり、何《なん》ともこの言葉に答えなかった。のみならず直孝を呼び
寄せると、彼の耳へ口をつけるようにし、「その女の素姓《すじょう》だけは検《しら》....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
りにします。
小町 きっとですね? まあ、嬉しい。きっとならば、……(使を引き
寄せる)
使 ああ、わたしこそ死んでしまいそうです。
三
....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
羽目《はめ》に立ち至りました。勿論友人たちは皆大喜びで、すぐにトランプを一組取り
寄せると、部屋の片隅にある骨牌机《かるたづくえ》を囲みながら、まだためらい勝ちな....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
せっせと先生の所へ通信部を開く交渉に行く。開成社へ電話をかけてせっせとはがきを取
寄せる。誰でも皆せっせとやる。何をやるのでもせっせとやる。その代わり埓《らち》の....
「少年」より 著者:芥川竜之介
ったのである。しかし狭苦しい東京湾も当時の保吉には驚異だった。奈良朝の歌人は海に
寄せる恋を「大船《おおふね》の香取《かとり》の海に碇《いかり》おろしいかなる人か....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
んに別れた後《のち》、僕等は格別急ぎもせず、冷びえした渚を引き返した。渚には打ち
寄せる浪の音のほかに時々澄み渡った蜩《ひぐらし》の声も僕等の耳へ伝わって来た。そ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
敏を据えようと思ったのでしょう。まんまとそれを種に暇を貰わせて、今の住居へおびき
寄せると、殺しても主人の所へは帰さないと、強面《こわおもて》に云い渡してしまった....
「或る女」より 著者:有島武郎
地の言葉に折れた。そして田島の塾《じゅく》からいよいよ妹たち二人《ふたり》を呼び
寄せる事にした。同時に倉地はその近所に下宿するのを余儀なくされた。それは葉子が倉....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
振《いぶり》の大草原を、日本海から内浦湾《うちうらわん》に吹きぬける西風が、打ち
寄せる紆濤《うねり》のように跡から跡から吹き払っていった。寒い風だ。見上げると八....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
くなって来て、とうとうその顔までがはっきり見える位になりました。が、そこいらは打
寄せる波が崩れるところなので、二人はもろともに幾度も白い泡の渦巻《うずまき》の中....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
淺野正恭 霊界通信――即ち霊媒の口を通じ或は手を通じて霊界居住者が現界の我々に
寄せる通信、例を挙ぐれば Gerldine Cummins の Beyond H....
「寡婦」より 著者:秋田滋
て、私よりも背丈が低かったので、爪さきで背伸びをするようにして、私の耳もとに口を
寄せると、私の名、それも呼名を、優しい、親しげな、美しい声で「ジュヌヴィエーヴ」....