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寄食
「寄食〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寄食の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
妻子を里に返してしまって、ある由緒《ゆいしょ》ある堂上華族《どうじょうかぞく》の
寄食者となって、これといってする仕事もなく、胸の中だけにはいろいろな空想を浮かべ....
「青木の出京」より 著者:菊池寛
においては、かなり享楽者《エピキュリアン》であった青木は、なんといっても不自由な
寄食的生活と、月々給与せられる五円という小額な小遣いとのために、その生活をかなり....
「食魔」より 著者:岡本かの子
番にめいめいの持寺に引取って世話をした。しかしそれは永く続かなかった。どの寺にも
寄食人を息詰らす家族というものがあった。最後に厄介になったのは父の碁敵であった拓....
「雁坂越」より 著者:幸田露伴
縁によって今の家に厄介になったので、もちろん厄介と云っても幾許かの財産をも預けて
寄食していたのだからまるで厄介になったという訳では無いので、そこで叔母にも可愛が....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
うに跼んで、遁げた抜けがらの巣を――窺えば―― ――籠るのは、故郷から出て来て
寄食している、糸七の甥の少年で、小説家の巣に居ながら、心掛は違う、見上げたものの....
「ヤミ論語」より 著者:坂口安吾
た時と異り、今日の僧侶は特に知識人でも教育者でもなく、むしろ時代の迂遠者であり、
寄食的生活者にすぎない。浮浪児の養育を私人にまかせることも文化的なことではない。....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
の山口は小石川白山下に門戸をはる白眼学舎、小西某という占師の甥で、この占師の家に
寄食していた。私は中学時代によくここへ遊びに行って、占師というものの生態に興味を....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
窟に於てこれを如実に見ることができる。おまけにドン底暮し、貧民窟には、どこよりも
寄食者、つまり居候が多いという妙な事実を御存じであろうか。嘘ではない。それが当時....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
まして栞のように、発狂している父親を看病し、老いたる僕や乳母や、荒々しい旅廻りの
寄食浪人などばかりに囲繞かれ、陰欝な屋敷に育って来た者は、型の変った箱入り娘とい....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
寛大で慈悲深い庄右衛門は、そういうことにはこだわらず、陣十郎の懇願にまかせ、家へ
寄食させて世話を見てやった。 敵討の旅 1 これが大変悪かった。 はじめのう....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
夫人は養家の家附娘だともいうし養女だともいうが、ドチラにしても若い沼南が島田家に
寄食していた時、懐われて縁組した恋婿であったそうだ。沼南が大隈参議と進退を侶にし....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
屋附近に行われる諺。) 十五歳の時、島根から上京して四谷の忍原横町の親戚の家に
寄食した。その時分もヤンチャン小僧で、竹馬の友たる山田|美妙の追懐談に由ると、お....
「芸術は革命的精神に醗酵す」より 著者:小川未明
のは何故か。彼等の作品が、商品化されたばかりでなく、彼等自身が、既に資本主義下の
寄食によって、機械化されたからである。 趣味や、知識の問題でない。今や、眼前の....
「反キリスト教運動」より 著者:小川未明
世界の資本家の涙金から同盟を作り、大会を催す――換言すれば、経済的に資本主義者に
寄食しているものだ。何処に彼のガラリヤの湖畔を彷徨したいわゆる乞食哲学者の面影が....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
ます。これを区別すれば、家人は主家とは別に一家をなすもの、奴婢は奴隷で主人の家に
寄食するもの、後世の商家の例で云えば、家人は通い番頭、奴婢は住み込みお仕着せの奉....