寒い[語句情報] »
寒い
「寒い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
云う「離れ」にも聞えて来るものは植え込みの竹の戦《そよ》ぎだけだった。甲野は薄ら
寒い静かさの中にじっと玄鶴を見守ったまま、いろいろのことを考えていた。この一家の....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
んしょう》に群がっている乱鴉《らんあ》と、――画面のどこを眺《なが》めても、うそ
寒い秋の気が動いていないところはない。
馬琴の眼は、この淡彩の寒山拾得《かんざ....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
う。」
ランプは相不変《あいかわらず》私とこの無気味《ぶきみ》な客との間に、春
寒い焔を動かしていた。私は楊柳観音《ようりゅうかんのん》を後《うしろ》にしたまま....
「河童」より 著者:芥川竜之介
わち人間の河童よりも進化していないことを示すものである。
十二
ある割合に
寒い午後です。僕は「阿呆《あほう》の言葉」を読み飽きましたから、哲学者のマッグを....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
》に気の緩むような心もちもする。明日の日は、必ず、首のない私の死骸の上に、うすら
寒い光を落すだろう。それを見たら、夫は――いや、夫の事は思うまい、夫は私を愛して....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
気《ひとけ》のない町を歩いて来た。町の上には半輪の月が、霜の下りた家々の屋根へ、
寒い光を流していた。牧野はその光の中へ、時々|巻煙草《まきたばこ》の煙を吹いては....
「黄粱夢」より 著者:芥川竜之介
の秋の午後は、落葉《おちば》した木々の梢《こずえ》を照らす日の光があってもうすら
寒い。
「眼がさめましたね。」呂翁は、髭《ひげ》を噛みながら、笑《えみ》を噛み殺....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
人が六人とも、五十歳以上の老人ばかり揃っていたせいか、まだ春の浅い座敷の中は、肌
寒いばかりにもの静《しずか》である。時たま、しわぶきの声をさせるものがあっても、....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
先をだらだら下りると、すぐに浜へつづいていた。
「泳げるかな?」
「きょうは少し
寒いかも知れない。」
僕等は弘法麦《こうぼうむぎ》の茂みを避《よ》け避け、(滴....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
去年の春の夜《よ》、――と云ってもまだ風の
寒い、月の冴《さ》えた夜《よる》の九時ごろ、保吉《やすきち》は三人の友だちと、魚....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
画も、同じように物柔かである。が、決して軽快ではない。何時も妙に寂しそうな、薄ら
寒い影が纏わっている。僕は其処に僕等同様、近代の風に神経を吹かれた小杉氏の姿を見....
「狂女」より 著者:秋田滋
が攻めて来た。 僕はそれを昨日のことのように覚えている。石が凍って割れるような
寒い日のことだった。痛風がおきて僕自身も身動きが出来なかったので、ぼんやり肱掛椅....
「初雪」より 著者:秋田滋
そう相槌を打ちながら、心ではまるで別なことを考えていた。 冬が来た。雨の多い、
寒いノルマンディーの冬が来た。空の底がぬけでもしたように、来る日も来る日も、雨が....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ルにわたって、喧嘩であろうと、娯楽であろうと、どんな場所にでも飛びこむのだった。
寒いときには、彼は毛皮の帽子をかぶり、その上に狐の尻尾をなびかせているので、すぐ....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
た。かつて久作さんや次兵衛達によって短歌会が持たれていた頃、たまたま散策には少し
寒いが晩秋の月のいい日に香椎の山で会が持たれて、一同は久作さんの山家で気勢を上げ....