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寒さ
「寒さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
寒さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
て、塔の風鐸《ふうたく》の鳴る音が、うるさいほど枕に通《かよ》って来た。その上、
寒さもめっきり加わったので、老年の内供は寝つこうとしても寝つかれない。そこで床の....
「冬」より 著者:芥川竜之介
。しかしそれよりもやり切れなかったのは全然火の気《け》と云うもののない控室の中の
寒さだった。僕は絶えず足踏みをしながら、苛々《いらいら》する心もちを抑《おさ》え....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
まいそうな寂しさに沈み勝ちであった。
その内に筑波颪《つくばおろ》しがだんだん
寒さを加え出すと、求馬は風邪《かぜ》が元になって、時々熱が昂《たか》ぶるようにな....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
それぎり声は聞こえなくなった。が、長襦袢《ながじゅばん》一つのお蓮は、夜明前の
寒さも知らないように、長い間《あいだ》じっと坐っていた。
十六....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
、――そうそう、あの日は紀元節《きげんせつ》だっけ。何でも朝から雨の降り出した、
寒さの厳しい午後だったが、千枝子は久しぶりに鎌倉《かまくら》へ、遊びに行って来る....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
儀《たいぎ》そうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶《ひおけ》が欲しいほどの
寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。丹塗《にぬり....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
ひとえざくら》が咲きそうな――と云っても、まだ霙《みぞれ》まじりの雨がふる、ある
寒さのきびしい夜の事である。当時大学の学生だった本間さんは、午後九時何分かに京都....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
燃え上ったり、どす黒い灰燼《かいじん》に沈んだりした。それは室内に漂《ただよ》う
寒さと戦いつづけている証拠だった。保吉はふと地球の外の宇宙的寒冷を想像しながら、....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
三右衛門はいまさらのように頭《かしら》を垂れた。額《ひたい》には師走《しわす》の
寒さと云うのに汗さえかすかに光っている。いつか機嫌《きげん》を直した治修《はるな....
「早春」より 著者:芥川竜之介
三時五分。
三時十分になった時である。中村は春のオヴァ・コオトの下にしみじみと
寒さを感じながら、人気《ひとけ》のない爬虫類の標本室を後《うし》ろに石の階段を下....
「夢」より 著者:芥川竜之介
》の頭《あたま》だった。――そんな夢も色彩ははっきりしていた。
わたしの下宿は
寒さの厳しい東京のある郊外にあった。わたしは憂鬱《ゆううつ》になって来ると、下宿....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
書いた通りである。しかし悪魔に出会ったことはファウストの悲劇の五幕目ではない。或
寒さの厳しい夕、ファウストは騎士になった悪魔と一しょに林檎の問題を論じながら、人....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
僕は東海道線の或停車場からその奥の或避暑地へ自動車を飛ばした。運転手はなぜかこの
寒さに古いレエン・コオトをひっかけていた。僕はこの暗合を無気味に思い、努めて彼を....
「初雪」より 著者:秋田滋
かった。彼女は一日じゅう、客間にいても、食堂にいても、居間にいても、どこにいても
寒さに悩まされた。骨の髄まで冷たくなってしまうような気がした。良人は夕餉の時刻に....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
、一番賤しい仕事をあてがわれ、他人の残りものを食べて露命をつなぎ、夜はまた夜で、
寒さに悩みながら冷たい板の間で旅寐の夢をむすぶ身となった。こうした苦労がつもり積....