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「寒水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

寒水の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ナポレオンと田虫」より 著者:横光利一
ま皇后ルイザにも逢わず、ひとり怒りながら眠りについた。 ナポレオンの寝室では、寒水石の寝台が、ペルシャの鹿を浮かべた緋緞帳に囲まれて彼の寝顔を捧げていた。夜は....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
返って見た。そうして彼等はその町の出鼻のところで、一軒のカフェを見つけた。彼等は寒水石ではないが純白な色の円卓子へ向き合って坐った。彼が気づくと、その円卓子の縁....
なめとこ山の熊」より 著者:宮沢賢治
っと崖を登りきったらそこはまばらに栗の木の生えたごくゆるい斜面の平らで雪はまるで寒水石という風にギラギラ光っていたしまわりをずうっと高い雪のみねがにょきにょきつ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
おられませぬ、こうしてはおられませぬわいな」 「待てと申すに」 竜之助の声は、寒水が磐《いわお》の上を走るような声でありました。お銀様はゾッとして立ち竦《すく....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
五厘 煉炭四寸 一包 六十七銭 豆炭 一袋 一・五〇寒水石(何でしょうね御存じ?)十貫 二・〇二 あなたの御存じの頃の店の物と随分....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
手燭は消えて真黒闇。 文「誰だえ」 一向答えがありませぬ。一生懸命ざあ/\と寒水を浴びては「南無大聖不……」 文「おい、誰か提灯を持って来てくれ」 藤原....
雪渡り」より 著者:宮沢賢治
氷《ひ》の上山《かみやま》から登りました。 雪はチカチカ青く光り、そして今日も寒水石《かんすいせき》のように堅《かた》く凍《こお》りました。 四郎は狐の紺三....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
に祝いの氷餅《こおりもち》をくださる。 町家《まちや》では、前の年の寒のうちに寒水でつくった餅を喰べてこの日を祝い、江戸富士詣りといって、駒込《こまごめ》の真....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
稀獣|矮麟を追い、麝牛をたずね、昼なおくらき大密林の海綿性湿土をふみ、あるいは酷寒水銀をくさらす極氷の高原をゆくうちに、知らず知らず踏破した秘境魔境のかずかず。....
魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
ら雪解水を送り下す間は、摂氏の七、八度から十度内外を上下するほど水温が低いため、寒水と同じ位に冷たいからだ。 そんなわけで、利根川の鰍は上流地方に棲んでいるも....
文妖伝」より 著者:田中貢太郎
「じゃあ、往って待ってる、ここの勘定をしてもらおうね」 「会計」 お葉は正面の寒水石の売台の前へ往って、そこから小さな書附を執って来て天風の前へ置いた。天風は....
水魔」より 著者:田中貢太郎
。 と、電燈の明るいバーが眼に注いた。彼は急いでその中へ入った。二条か三条かに寒水石の食卓を据えた店には、数多の客が立て込んでいた。彼はその右側へ往って腰をか....