寒菊[語句情報] » 寒菊

「寒菊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

寒菊の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
年末の一日」より 著者:芥川竜之介
た。おまけにお墓のまわりの土もずっと霜に荒されていた。それは九日に手向けたらしい寒菊や南天の束の外に何か親しみの持てないものだった。K君はわざわざ外套を脱ぎ、丁....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
。コンクリートの階段と手摺《てす》りとがあり、階段の上がり口には蘇鉄《そてつ》や寒菊や葉蘭《はらん》などの鉢が四つ五つ置いてあった。 露台の中央には籐《とう》....
明暗」より 著者:夏目漱石
すま》は開け放たれたままであった。津田は正面に当る床の間に活立《いけたて》らしい寒菊の花を見た。前には座蒲団が二つ向い合せに敷いてあった。濃茶《こげちゃ》に染め....
三四郎」より 著者:夏目漱石
枝が半分往来へ逃げ出して、もう少しすると電話の妨害になる。菊が一株ある。けれども寒菊《かんぎく》とみえて、いっこう咲いていない。このほかにはなんにもない。気の毒....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
て、やや無用に類するものを買って来た。わたしの外套の袖の下に忍ばせている梅の枝と寒菊の花がそれである。移転以来、花を生けて眺めるという気分にもなれず、花を生ける....
田舎教師」より 著者:田山花袋
を生けた。早咲きの椿はわずかに赤く花を見せたばかりで、厚いこい緑の葉は、黄いろい寒菊の小さいのと趣に富んだ対照をなした。べつに蔓うめもどきの赤い実の鈴生りになっ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
野梅に三輪の花を見つけた。年内に梅花を見るは珍らしい。霜に葉を紫に染めなされた黄寒菊と共に、折って小さな銅瓶に插す。 例年隣家を頼んだ餅を今年は自家で舂くので....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
す。また貸席を兼ねたものです。当時水茶屋で名高かったのは、薬研堀の初鷹、仲通りの寒菊、両国では森本、馬喰町四丁目の松本、まだ沢山ありましたが、多くは廃業しました....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
、花活《はないけ》に花の絶えたことがない……というと結構らしいが、其代り真夏にも寒菊が活《いけ》てあったりする。造花なのだ。これは他《た》の部屋も大同小異だった....
無法者」より 著者:豊島与志雄
の間の掛軸を指し示した。今井氏が愛撫してる竹田の山川画で、その斜め下の花瓶には、寒菊が清楚に活けてあった。 房代夫人とならば、たとい割烹旅館に泊りに行こうと危....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
ひとりすむや行水の間を閂かけて すみ女 共にさみしい境遇心持をあらわし、寒菊にいぢけてをれば限りなし みどり 草箒木どれも坊主や返り花 同 み....
多神教」より 著者:泉鏡花
、燦然として漲る裡に、秘密の境は一面の雪景。この時ちらちらと降りかかり、冬牡丹、寒菊、白玉、乙女椿の咲満てる上に、白雪の橋、奥殿にかかりて玉虹の如きを、はらはら....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
に転《ころが》ってる侘しい落葉を表象させる。庭の隅《すみ》などで見た実景だろう。寒菊や日の照る村の片ほとり 冬の薄ら日のさしてる村の片ほとり、土塀《どべい》な....
十番雑記」より 著者:岡本綺堂
て、やや無用に類するものを買って来た。わたしの外套の袖の下に忍ばせている梅の枝と寒菊の花がそれである。移転以来、花を生けて眺めるという気分にもなれず、花を生ける....